角川『短歌』2020年3月号
①鬼怒川のもとの名絹川しらしらと春はうすぎぬひかりてありぬ/怖ろしき名をたまはればいくたびも悪鬼鬼怒川人界襲ふ 日高堯子 自然を詠った歌良し。確かに名前(の漢字)でイメージが全然違う。歴史的視野を持つ、読み応えのある連作。
②「誌上歌合」桜より女の顔するさくら餅 賞味期限は本日中でしょ カン・ハンナ 歌合では負けたけど、この歌いい。さくら餅の質感に身体性を感じる。さくら餅に重ねているのは自分と取るか、女性一般と取るか、で歌の印象が変わる。…もちろん、関東の桜餅ですよね?
③梅内美華子「歌壇時評」〈個々の体験や心理の揺らぎを追求した表現が震災後の風化という問題に奥底から真実の力をもって対峙し得るものになる。〉梅内の問題への向き合い方と筆力を尊敬する。震災を詠むこと、書くことについて何度も考えさせられた時評。
2020.3.13.~15.Twitterより編集再掲