十 目覚め/アルカナ眠る君に噓はつけない

 悠真は家に到着するなり、鞄を放り出した。誰も居ない静寂の一軒家に彼の嗚咽だけが響く。
 拭っても止め処なく溢れ出す涙。義兄に辱めを受けたことはもちろんのこと、信じてきた義父を貶められたこと、そして、欲情してしまった自分が何よりも許せなかった。

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3,107字
某BL雑誌でA賞を取った作品です。 完結しています。全27章。凡そ75000字です。 18禁指定。少しハードなBLです。

義父の通夜で初めて義兄<仁>の存在を知る悠真。実父を憎む冷淡さがありながら禁欲的で支配性すら感じる魅力に悠真は不覚にも魅せられてしまう。目…

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