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アルカナ~眠る君に嘘はつけない~

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義父の通夜で初めて義兄<仁>の存在を知る悠真。実父を憎む冷淡さがありながら禁欲的で支配性すら感じる魅力に悠真は不覚にも魅せられてしまう。目覚めた性に翻弄され、背徳の扉を自ら開けて…
某BL雑誌でA賞を取った作品です。 完結しています。全27章。凡そ75000字です。 18禁指定。…
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記事一覧

一 遺言/アルカナ眠る君に嘘はつけない

──僕があの人の存在を知ったのは、義父の最期の言葉を聞いた時だった。  悠真《ゆうま》は…

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二 選択開始/アルカナ眠る君に嘘はつけない

「親の心子知らずなのか、子の心親知らずなのか、まあ、分かんないことに首を突っ込まない方が…

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三 風の使者/アルカナ眠る君に噓はつけない

「二人とも帰っていいよ。恥ずかしい……」  校門に立つ悠真から離れようともせず、智樹や美…

四 硝子の向こう側/アルカナ眠る君に噓はつけない

 冷静で品のある顔立ちと後ろに撫でつけた髪。仕立ての良いスーツに身を包み、一糸乱れぬ姿で…

五 禁断の行為/アルカナ眠る君に噓はつけない

「義兄さん……」  悠真は繋がれた両腕をガラスに乗せ、這うように頭上に滑らせながら身体ご…

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六 利害の一致/アルカナ眠る君に噓はつけない

 悠真は何かに突き動かされたように飛び起きた。そして、静寂の中、暫く微動もせずに呆然とし…

七 奇妙な感情/アルカナ眠る君に噓はつけない

 悠真はちょうど昼時の大学構内で、朦朧とベンチに腰掛けていた。漸く日常に戻っても、気持ちはまだ異界の地にある。  気にかかることが多すぎた。あの睡眠薬には眠りの他にも重要な何かが含まれていたような気さえする。こうして美紅に会う為に来たはずなのに、到着した途端に自分に歯止めをかける奇妙な感情もあった。 「おい、どうした」  視界の中にゆるりと現れたのは智樹だった。いつものように両手をパンツのポケットに突っ込み、重い靴底を踏み鳴らす姿がやけに懐かしく感じた。 「あれ、家に帰ってね

八 縄張り/アルカナ眠る君に嘘はつけない

「オレたち浮きまくってね?」  智樹はオフィスビルの一階にある受付カウンターで、ふてぶて…

九 眠りの真実/アルカナ眠る君に噓はつけない

 仁はデスクに腰かけ、積まれた書類に目を通していた。悠真が入ってこようと顔を上げる気もな…

十 目覚め/アルカナ眠る君に噓はつけない

 悠真は家に到着するなり、鞄を放り出した。誰も居ない静寂の一軒家に彼の嗚咽だけが響く。 …

十一 真夜中の侵入者/アルカナ眠る君に噓はつけない

「ありがとう。あとは一人で出来るから。こんなに広くちゃ眠る場所にも困らないし」  悠真は…

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十二 隠された拘束/アルカナ眠る君に噓はつけない

「やべえ、頭いてぇ。おい、悠真。まだ寝てんの?飯食いに行こうぜ」  智樹は内階段を怠惰に…

十三 快楽の丘/アルカナ眠る君に噓はつけない

「美紅……」  悠真はマンションのドアを開けると、笑顔で手を振る美紅に複雑な微笑を浮かべ…

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十四 失われたもの/アルカナ眠る君に噓はつけない

「二人のことだしオレには関係ねえけど『おまえどうしちゃったのかな』とは思うぜ」  智樹は大学のアトリエで黙々と彫刻の型抜きをしている悠真を眺めて言った。 「ごめん。今、その話はしたくない」  無愛想に一言だけをこぼし、石膏だらけの顔を袖口で拭う。作品に没頭している時は常にそうだが、今日の悠真には何故だか無性に苛立った。 「だったら、美紅ちゃんを納得させろ。オレに泣きつかれても困るんだよ。好きな奴とか、オレだって初耳だし」