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3分の白昼夢(2017.7.1~)

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3分以内で読めるショートショート集。 ぼくは、わたしは、おれは思う。 あの日みた白昼夢。 それは、すべて現実だ。
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#小説

3分の白昼夢/ポジティブで四面楚歌

誰もがポジティブを望む。 「嬉しい」とか「楽しい」とか「ありがとう」とか。 言葉には言霊が…

3分の白昼夢/ぼくは、丸呑み隊

ごはんはできれば噛みたくない。 ガムも飴も丸呑みたい。 ママはよく噛みなさいという。 先生…

3分の白昼夢/忘れないでとは言わない

「一日も早く忘れてくれ」 父の遺言にそう書いてあった。 「私のことを忘れろ」と、 「覚え…

3分の白昼夢/核心の見えない理由

私を木っ端みじんに振った男がバイト先にやってきた。 わざわざ私に会いに来たのだ。 もちろん…

3分の白昼夢/究極の選択とα波

ゾンビになるか、孤立無援で立ち向かうか。 どっちを選ぶ? 今夜もそのことばかりを考えていた…

3分の白昼夢/エコバッグの真意

「これに入れてください」 私はエコバッグを差し出した。 一人分の食材と米を入れるには十分す…

3分の白昼夢/時が解決するのだろう

訃報が届いた。 あまりにも突然の別れだった。 わたしは何も感じなかった。 痛みを感じるよりも早く、わたしの「核」がポロリと穴から抜け落ちた。 涙は微塵も出ていない。 滲みもしない。 ただ、空腹に襲われ、黙々と野菜を刻み、焼きそばを作った。 それで何かが満たされた気持ちになった。 本気でそう思った。 テレビではサッカーの試合をやっていた。 それを食い入るように見つめ、アドレナリンを放出した。 部屋にこの世で一番苦手な昆虫が現れた。 飛び上がるかと思ったが、いつもより恐怖は感じな

3分の白昼夢/無口な鏡

チャイムと同時に教授の元へ向かうA子。 その背中を「お腹すいたんだけど」と、言いながら見…

3分の白昼夢/ルール違反のない町

工場町にある酒場は、仕事帰りの男たちでいつも溢れかえっていた。 しかし、彼らは何も語らな…

3分の白昼夢/理路整然と優しさ

姉妹仲は悪くないのだと思う。 相容れないとすれば、姉は感情でモノを言い、わたしは理路整然…