【前編】知財塾を利用してみて【キャリア座談会 バード国際特許事務所】
オープニング
上池(以下、上):それではキャリア座談会、始めていきたいと思います!今回のゲストはバード国際特許事務所所長の小林さんと、同じくバード国際特許事務所の土橋さんです。よろしくお願いします。
バードさんではメンバーの教育に知財塾をご活用いただいていまして、小林さんにはそのあたりの背景や狙いをお伺いしたいのと、もともとは事務担当である土橋さんには商標権利化ゼミに参加された背景や受講してみてどうだったかなどのお話を伺いたいと思います。
知財塾を活用する背景、狙いについて
上:早速小林さんに知財塾を活用する背景と狙いについて伺いたいと思います。
小林さん(以下、小):うちはたぶん知財塾さんの大のお得意さんですかね。
特許事務所では職人肌な人が多いのもあり、きちんと新人教育ができないことに課題を感じています。
ですが、断片的ではなく体系的に教える制度を事務所ごとに設けるのは大変で、事務所のOJTでも担当になる人が誰かによってその新人が育つか育たないか分かれますね。どこの業界もそうなのでしょうけど。
ベテランの人でも教える能力がある人が少なく感じます。
うちもまさにそうで、教えるのが上手い人もいないし、そんな余裕もないし、外部で学んでくれるんだったらウェルカム!ということで知財塾を活用しています。
事務所のやり方はそれぞれあるのでしょうけど、それは知識をつけた後でも十分かなと思っています。
まずは体系的な知識を知財塾さんで教えてもらうことで、新人の躓きを解消して人材が特許事務所から企業に流れてしまうことを防げると思います。
上:特許事務所共通の課題として教育が大事なのは分かっているけど、時間もなかなかかけられないし、実務はすごくスキルが高い人でも新人に上手く教えられなかったり、というのはどこにでもある話なんだろうな、と思いました。
知財塾は初学者をターゲットにしていて、とりあえず知財塾を受講すれば一定のスキルは身に付く、みたいなところは担保できるとは思っています。
小:知財塾で学んだ人のスキル表みたいなのを作って、ここは知財塾で学んだ、というのをいつか作っていきたいなと思っているんです。
上:そもそも知財の実務、知財の知識の中にはどういうものがあるのかという俯瞰図と、その中で「知財塾ではここになります」とわかるように、可視化できるようなことをしたいと思っています。
その上で実際に学んだ方や転職サービスに登録された方の具体的なスキルの可視化を両輪でやっていけると、連携も取りやすいですし。
小:うちもその人のスキル表というのを作り始めているんですけど、そういうのは転職の時とか知財塾でタイアップして表を作って行くのっていいなと思いました。マッチングしやすいんじゃないかなと思います。
上:ありがとうございます。
知財塾のゼミを受講したきっかけと感想
上:土橋さんにも話を伺っていきたいと思います。
まずどういったキャリアを歩んできたかを教えていただけますか。
土橋さん(以下、土):私が知財業界に入ったのはつい最近で、もともと広告代理店で自社媒体の制作として働いてきました。
今も継続中で、ダブルワークで働いています。
もともと家族が特許事務所をやっているので、そのお手伝いというかたちで2、3年前から手伝うようになりました。
2022年の1月にその事務所とバード国際特許事務所が合併をしまして、今は週の半分くらいをバード国際特許事務所で事務員として働いています。
知財塾を受講した経緯ですが、もともと私は商品に対してやマーケティングなどに興味があって、そういうことを取り扱う業務をしていたことから小林先生に「商標興味ある?」と声をかけていただいたことが受講のきっかけになりました。
事務所内でも商標一本でやられてる方は一人しかいらっしゃらないので業務課題が深刻化していっているということもあり、商標業務のサポートが事務所の需要としてもありました。
知財とは関係のない仕事をしてきたので、知識はまっさらな状態で受講しました。
上:ありがとうございます。
元々知財事務を始めるにあたっても、知財って何?というかんじだったんじゃないかなと思うんですが、そういう最初のハードルはどうやって越えたのでしょうか。
土:最初は家族と雑談程度に話をする中で、知財はこういうものなんだという感覚的なものは掴んでいたと思います。
ですが、やっぱり一般的な感覚と知財の知財業界の方の専門的に扱うもののギャップがすごくて。
商標とかも「なんでそれがだめなんだろう?」と思ったり、感覚的にそれは「その人のものだろう、それはやっちゃ駄目でしょう」って一般的な感覚では思うようなところについて「法律上はここまでやっていいんだよ」とか、そういうところで感覚で追いつかなかった部分がありました。
そこはちょっとずつギャップを埋めていきましたし、今回知財塾を受けてだいぶ馴染みました。
上:1回ちゃんとインプットしないと分からないことって結構あって、そこを乗り越えるのが最初のハードルなんだよなって思います。
土:そうですね。
専門用語は慣れないことばかりで、1文字の違いで内容が変わったり、これとこれの作業工程の違いは何なのかとかがわからなかったりします。
知財塾で実務に沿った内容で実際手を動かしてみて、段階ごとに必要なことがあるのだと、今はだいぶすんなりわかるようになりました。
小林さんが土橋さんに知財塾のゼミを勧めた背景
上:小林さんから商標に興味があるんだったら受講してみたら?と声をかけられたというお話でしたが、小林さんとしてはそれはどういった背景や狙いがあってのことだったんですか?
小:東京と山梨でそれぞれ商標をやっている方がいるのですが、特に山梨は東京よりも商標の需要があるという地域柄で、実務ができないにしてもサポートができる人が欲しいという商標担当者の声があったことが背景にあり、それに応えるために土橋さんに知財塾を受けてみないかと声をかけました。
仮に知財塾を受講して実務寄りのサポート係ができるまでに至らなかったとしても、知財の言葉に馴染みが持てるようになるだけでも十分に受講する価値があるなという思いもありました。
上:その教育に関する考え方はすごいなと思っていて、それに実際に事務員の方が受講しに来るというのもすごく面白いです。
事務でやってるからそれ以上は特に求めていなくて事務だけ、みたいな方も中にはいるわけじゃないですか。
そういった中でこのようにスキルアップに繋がっているというのはまさにインタビューをさせていただくきっかけになりました。
こういったケースがどんどん広がっていくと、事務の方のスキルアップやキャリアアップに繋がるなと感じています。この事例をどんどん広めていきたいです。
小:向き不向きがあると思うのですが、土橋さんは商標実務ができそうだなと思っていました。
知財塾を受けることによって向上した実務スキルについて
上:土橋さんから今まで分からなかったことが分かるようになったというお話がありましたけど、他に実務の部分でこういうところがよりできるようになったなとか、この辺のスピード上がったな、とか何かあったりしますか?
土:私が受講したのは、商標の調査と意見書の書き方でした。商標の調査で調べるにあたっても、意見書を書いた経験があることで、ただ調べるだけではなくなりました。
クライアントの意向に沿った出願に至る可能性が上げられるか、駄目だったけどこうすればできる、といったことを実際に話せるようになりました。
小:もちろん実際の実務では、弁理士がやらなければならないところは弁理士がやっていますけどね。
上:弁理士がやらなければならないところは弁理士がやるにしても、サポートの方がそれだけの視点を持ってくれるなら、すごく事務所内の業務役割分担のところで楽になるというか、やってもらえることはどんどんお願いできるような体制になっていきそうですね。
小:そうですね。いつか阿吽の呼吸でできるようになってくるかもしれないですね。
でもそれはやっぱり知識がないとできないですね。