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「試験又は研究」について書いてみる①

前置き

一応、弁理士試験に受かっているので、弁理士試験に関係ありそうな内容のこともつらつら書こうかと考えてます。
製薬会社に勤めているということもあり、ありきたりですが、

特許法第69条第1項
「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。」

特許法 / e-Gov法令検索

この「試験又は研究」のことでも書いてみようと思いますー。

※あくまでも私がまとめた内容になるので、誤りがあるかも知れません
その際は教えていただければ幸いです。

試験又は研究ってどうゆうこと?

試験又は研究には以下の目的のものが該当するようです。

<特許性調査> 特許発明について、新規性、技術的進歩性の有無を調査するために行われる試験で、その結果によっては無効審判の請求又は異議申立を可能とする。
<機能調査> 極めて一般的に行われる試験で、その特許発明が実施可能であるか、明細書記載どおりの効果を有するか、場合によっては副作用等の副次的影響を生ずるものか否か等を調査するもの。この試験は、更にその特許発明のもたらす経済的利益・不利益、その実施に要するコスト等の確定をも含む。その結果によっては、実施許諾を受ける可能性が明らかとなる場合もある
<改良・発展を目的とする試験> 特許発明の対象について、さらに改良を遂げ、より優れた発明を完成すること。改良発 明は、特許発明と利用関係を作り出すから、その実施については特許権者の承諾が必要で、実施権が設定されれば、特許権者の利益にも結びつく。迂回発明については、特許発明との間に利用関係を生み出さないが、試験の結果完成した迂回発明が特許されるためには、新規性、進歩性の要件を満たす必要があることから、結果的に、迂回発明を目的とする試験は技術の進歩に貢献する。

染野啓子「試験・研究における特許発明の実施(I)」AIPPI, Vol. 33, No. 3(1988
年)5 頁

これのどこまでがOKでどこからがNGかって、難しいと思うんですよね・・・(よく知ってる方アドバイスをください)。
個々の事例に依存するもののような気がします。

ただ
「後発医薬品の承認を得るために必要な臨床試験」
については「試験又は研究」に該当するようです。

用語説明

臨床試験

全然関係の仕事とか勉強をしていたら、臨床試験ってなんぞ?ってなると思います。
私も製薬会社で働くまで、正直よくわかっていませんでした(今も大してわかってないけど)。

臨床試験って一般に治験と言われるもんですが、
ざっくり、「新しい薬の有効性・安全性を確かめる試験」
くらいの認識でいいと思います。

例えば、
癌に効き目がありそうな物質が見つかったー
お皿の上でがん細胞にその物質を反応させたら、がん細胞が死滅したー
これはいい薬になるぞ、売ろうー

こんなプロセスで薬を売られたら、怖いですよねw
(まぁ特許と一緒で薬も承認申請があって、厚労省さんが判断するので、こんなんで出したら、突っぱねられますけど)
人間で本当に効くの?それって人体に無害なの?
ってなりますよね。

そのあたりを確かめるのが、臨床試験です。
実際にヒトに試してみて、本当に効くのか、副作用はないのか(その他もいろいろありますが)などのデータを取ります。
各種データが揃った上で厚労省さんに承認申請をする、という感じですね。

後発医薬品

後発医薬品というのは俗にジェネリック医薬品というもので、最近たまにニュースを賑わしていますが、
「先発医薬品の特許が切れた後に、同じ有効成分で後から市場に出た医薬品」
って感じです。

医療費が高いから、みんなジェネリックを使おう、と謳っているのはジェネリック医薬品の方が先発医薬品より安価であるからですね。

先発医薬品の会社は薬の元から探して、上で説明した臨床試験もしっかりやって、かなり手間とお金がかかって薬を作っているんです。
なので特許で守られて、一定期間独占することで、その投資を回収できるというビジネスですね。

一方でジェネリック医薬品は、薬の元は先発と同じなので、すでに発見済み、有効性・安全性もある程度、先発医薬品で確かめられてるから、臨床試験もフルパッケージでなくてもいいということがあり、先発医薬品と比べて手間とお金がかからずに世に出すことができます。
なので先発医薬品より安価に作って、市場にたくさん供給するというビジネスになります。

ちょっと長くなりそうなので、一旦今回はここまでにします。
あでゅー。

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