【漫画感想】オーイ!!やまびこ(矢口高雄)
子どもが小学生の時、担任の先生が学級文庫の中に入れていた漫画。
家に借りてきたので、一緒に私も読ませてもらった。
私が小学生の時、学級文庫に「はだしのゲン」があって、戦争の生々しい描写に、とてもショックを受けた漫画だった。
「オーイ!!やまびこ」は、「釣りキチ三平」で有名な矢口高雄の漫画で、これも「はだしのゲン」と同じ、戦争の時代の漫画。
原爆こそ落とされてないけど、同じ頃の東北、どんなに酷い時代だったかに重苦しくなる‥
泣き喚く乳児をエンシコという竹籠に括って、家の中に一人、放置しておき、母親は乳房が張って苦しくても、長時間外で働いて、母乳をあげられない‥
百日咳で死んでいく子供の苦しみ、「囲炉裏」がどれほど火傷、火災の多い恐ろしいものだったか‥
囲炉裏で顔を火傷した女児の将来を憂えて、子供を締め殺してしまう母親の実話も本当に辛かった‥
今この世界は、どんな過去の上にあるのか‥こういう作品は、一度は読んだ方がいいと思った。学級文庫に入れた先生、すごい
「はだしのゲン」の主人公は、たくさんの酷い経験をしながら、それでも逞しいように、やまびこの主人公も、明るく元気な少年(作者)なのは救われる思い
やまびこに登場する、「熊さん」という、村で変人扱いされている、独り身の男性がかっこいい❤️
一人、絵を描く愉しみを持っている人で、矢口高雄さんが漫画家になったのは、この熊さんの影響だそう。5年以上前に読んだ記憶だけなので、間違ってるところあるかもしれないけど。
あの偏屈者に関わるな、という空気の中、少年作者はなぜか熊さんに魅かれて、仏画だったかを熊さんが家で一人で描いているところにやってきた。
熊さんが目を描き入れる時、「今から絶対に喋るな!」と少年に真剣な声で釘を刺し、緊張感の中、描き入れると、熊さんはうまそうに一服吸った、というシーンがとっても好きだった。
仕事でもなく、ただ好きでこんな時間を持っている人、すごく好き❤️
村の人々の集まりで、なんだったか、熊さんが引っ込みがつかなくなって、自分の足を刺した話は驚いたけど、まあ、時代っていうのはあるんだろうけど、とぼとぼ惨めに帰っていった熊さん、‥どうか「しょうがないわねえ」と言いながら手当をしてくれた愛人の一人もいますように
結構モテそうだけどね❤️