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[逆噴射小説大賞2024] 私的ピックアップとライナーノーツ的な

10月…あっとゆうまに駆け抜けました。

noteの企画も満載だったし、子の学校&保育園の行事も目白押し、自分たちのライブもありました。

そんな中で今年もやってきた『逆噴射小説大賞』。

毎年楽しみにしているお祭りです。

私がnoteにやって来て初めて参加した企画がこの『逆噴射小説大賞』でしたので、思い入れがあります。
気が付けば、今回で5回目の参加となりました。

※募集は締め切られています

この大会は単純明快。

長編パルプ小説の冒頭800文字を書いて面白さを競う。

それだけです。

◎はじめに『逆噴射小説大賞』の魅力を伝えたい

『逆噴射小説大賞』の最大の特徴は、800字できれいにまとめるのではなくて、どれほど続きを読ませたくするか…というところです。

これくらいの文字数だと気軽に参加できてハードルが低く見えてよいですね。

なんだけど、やってみた人は分かると思いますが、この文字数で続きが超絶気になるような展開を書くのはめっちゃむずいです。

すなくとも 1,200文字くらいは欲しいはずです。

それを削って削って削って800字にしていく作業が、『逆噴射小説大賞』

だから、この大会で作品を800文字以内に納めてきた参加者のみなさんに私は最大の敬意を表します。

これは血尿出るくらいの作業なのです。

800文字が呪いに見えてくるでしょう。
絶妙な文字数なのです。

◎パルプ小説のテンション

パルプ小説ってとこ、ポイントだと思います。

パルプって明確な基準がないので「これはパルプだ」と言い張ればパルプになります。

なんだけど、元々の意味を考えると、大衆向けの娯楽・エンターテイメントであることが重要な要素なのかなって私は思っています。

ということもあって、『逆噴射小説大賞』はなんだか参加者のテンションが高めに感じます。

「うひょひょひょ~やってやんぞ!!!!」 と完全武装した猛者たちがずらりと並んでる感じ。

端的に言うとクレイジーな奴多め。

私にはそれがとても心地よいのです。

◎全部読む妖怪

私は、好きな大会となると、投稿された作品を全部読みたい病を発病します。

参加者が増えて来るとこれはやっかいな病です。

『逆噴射小説大賞』も参加者が増えてきたのでいつか全部は読めなくなるでしょう。
でもできる間は読みたい!!! だって、すごい面白いやつを見逃したくないんだもん!!!

自分のを投稿するまでは影響を受けたくないので私は一切読みません。だから、読み始めた時には既にめっちゃ溜まってるのです。

それでも、今回もまた私は全部読んだぞ!!! たぶん!!!
しっかりじっくりは読めてないかもしれないが、ぜんぶに目を通した!!!

おもしろかった!!!!

できれば全部紹介したい気持ちでいっぱいなんだけど、絶対ムリなので、特に好きと思ったやつと紹介していきたいと思います。

※あ、『逆噴射小説大賞』には勝手に好きな作品をピックアップする文化があります。よかったらみなさんもぜひ。

▽応募作日の一覧マガジンです

◎逆噴射小説大賞2024 私的ピックアップ

今回は参加者がとっても増えて、常連さんはもちろん、普段別で仲良くさせていただいてるみなさんも多く参加されていて、私は嬉しかったです。

読んでいるとどうしても作者は目に入ってきますが、なるべく「誰が書いた」のかは意識しないようにして、純粋に物語を楽しむように読んできました。

なので、こちらでピックアップした作品は、仲良しさんとか関係なく純粋に、私が「おもろ!!! すき!!!!」って思った作品を紹介していきたいと思います。
どうぞご了承ください。

※掲載順 = マガジン登録順


RTGさん作『クラヴマンの祈り』

冒頭からずっと、とある一族が代々受け継いできたトウキビ畑の歴史が語られます。
むむむ…これはこのまま終わるのかもしや??? と思った最後の一行。

その一行のためだけに、そこまでの760文字が使われています。

ぎゃっふん!!!! でした。



しゅげんじゃさん作『第六切断面』

不穏な空気の中、暗い部屋。
そこでゲームが行われています。

このゲームが、もう私の好みにズバッとはまってしまって、釘付けです。

どんなゲームなのかぜひ記事を読みに行ってください。
これはぜひ映像でみたい冒頭シーンです。

ちょっとまって。そこで終るんですか!?
続き書いてください~!!



azitarouさん作『空騒ぎフラッパー』

学園ものです。
冒頭で会話をしている人物と、どうやら死んでしまった人物と、“僕” の関係がわかると、どんどん引き込まれました。

そして後半で新たな人物が登場することで、先が全くわからなくって、、、なんだかサイケデリックなバトルが始まり、ちょ、ちょっとまて、そこで終るんか!!!!
となりました。

で、タイトルが『空騒ぎフラッパー』でしょう。どうなるのだろう~。
気になります~。



透々実生さん作『ブラッディ・エンジン:2.5』

どうやらレースをしてる始まり。
クレイジーなレースが開幕です。

スピード感あふれる展開と、意外と冷静な主人公…。
そんで、主人公が乗ってるやつがめちゃくちゃクレイジーです。

喋る車とか、素行の悪い乗り物キャラとかいろいろ見てきましたが、こんな車は初めてです😚

きゅ、吸血フェチなんですよ私…。



yama娘さん作『創世神話』

創世記のお話。二人の神が登場します。

なんだけど、神が「ズッ友」とかいう単語を言います。
私はぞっこんです。

「文明、滅ぼしちゃったノ・・・」
「たぃへん・・・」

あばばばばばばばぁ…萌えるんですがっ!!!!
漫画にしたいお話です💖



木古おうみさん作『父買う夜市』

すごく怖くて好きです。
淡々と語られる中にジワジワ染み込んでくる狂気…。
社会全体が狂ってるけど誰も気が付いてない様子。

現代の話なのか、未来の話なのか、異世界の話なのか…物語の背景がはっきりしないままに to be continued でもっと先が読みたいです。



森戸 麻子さん作『3だけが失われたこの世界で』

3つの願いを叶えてくれるジンに会ったとき、この世から3を消してしまった者のお話です。
何かが消えてしまった世界…ってなんとなくドラえもんみたいでとっても面白いです。

そんな世界でいったい何が起こるのかなと読み進めると、最後に状況が一変します。
ゾッとしたところで to be continued...



歩行者bさん作『異形(いぎょう)』

視点がどんどん動いて行く文章に乗って異界へと足を踏み入れてしまうような感覚になる文章です。

私はこのような夢を時々見るのですが、ご本人が見た夢をアレンジしたものだとのことでした。
なるほどーと納得です。私もよく夢の一部を物語に混ぜ込んで使ったりするので、このような味わいが大好きです。



pictogram_manさん作『探偵は眠れない』

800文字びっしりずっと喋ってます。

ひとりが一方的に喋っている文章が大好きです。話がいったり来たりして、なかなか核心に迫らない感じも好きです。
読んでいるうちに、喋っている人に感情移入するのではなくて、それを聞いている探偵さんに感情移入していくのが面白いです。

探偵さんは一言も発していないのに。



透々実生さん作『美食人鬼、最後の晩餐』

こちらの記事をまとめていて気が付きましたが、透々実生さんの2作目ですね。
きっと私は透々実生さんの文章が好きなのです。何となくですが、フェチポイントが似ているのでは…。

ものすごく狂気じみた、クレイジーな女が出てきます。
カニバリズム…私も時々題材にしますが、書くのが難しいジャンルだと思います。
ただグロイだけじゃダメで。

人を喰う女が、ただの狂気だけじゃなくて異様な魅力があるところにエモさを感じます。
どういうことなのかもっと知りたいです。
語り手のミスタ・メルグという名前も面白いです。



ユイニコール七里さん作『ネルトリンゲンのお坊さん』

タイトルがとても好きです。
どういうこと?ってなるのが好きです。

絵本のような文体なのに、どこか異常で、なんかぶっ飛んだ出来事が起こりそうな予感です。
ちょっとどういうこと? というところで終っているので続きが読みたいです。



ディッグ・Aさん作『異造人間ソル』

前半部分で「こんな話なのかな?」って想像したものとはとても違った展開が待ち受けていて、なに? っとなったところで終わりになっていて、見事に続きが気になっています。

遠い遠い未来、別の星で…人類がどうでどうなったのかとか、異造人間ソルがいったい何をしてるのか…とかワクワクする種が短い間にばら撒かれます。

最近、私的にSF不足だったので、とっても嬉しいです。



aritoさん作『一軒家、死体付き』

タイトルから、そんな一軒家いやだ…と思うわけですが、想像とはまったく異なる世界が展開されます。

一気に不思議な世界にいざなわれます。

うーん。本当にどういうこと? 先が知りたくてしかたないです。



復路鵜さん作『釣果の光はただ下に』

南極で釣りをしている主人公が巻き込まれる特異な事態…。

キャラクターがとてもよいです。

極地用オペレーターがアニメ的ロボット。
火山や砂漠をニコニコスマイルで踏破する美少女たちが闊歩する世の中です。

そんな中、南極で釣りをしてると、とんでもないものを釣ってしまうのです。
面白すぎです!!!



lizardfolkさん作『ドリーム・オヴ・エイプス』

いきなり足利義輝が出てくるので時代劇と思いきや…。SFなんですよぉ!!!!
めっちゃよいです。

これは私の個人的な事情なのですが、今熱心に見ているアニメに足利義輝が出て来たことがあり、親近感を持っていたところだったので、むむむむ!となりました。

で、タイトルも気になっています。



サトウのびさん作『崩!崩ㇲ麺』

とってもシュール。だけどなんかゾッとする世界です。
800文字の中でとにかくラーメンをすすっている。

「外なる神よ、あなたの麺は不味すぎる」

2024年言ってみたい台詞にランクインしました!!!
私もこういう文章を書きたいなー。憧れ…。



やね斜裏さん作『死んでま寿司! 地獄ロケランちゃん。』

タイトルから想像できる通りにハチャメチャですごく面白いです。

電脳世界の寿司が全てAI化することとなり寿司を守るお話です。なのか?

私が勝手にサイケデリック パルプ サイバーパンクと名付けた世界が展開されます。
最高っです。



ななみね|らいがさん作『MEINE×MINE:わが鉱山』

鉱山とか鉱物のお話が好物です。

鉱山から採掘されるのは塩。巨神が死んで塩となった伝説。
これだけで私はご飯何杯でも食べられます。

ただ塩を掘っているだけではなさそうな展開に、とても続きが知りたいです。



銅鑼 削さん作『夕日は血の色』

文章がとても好きです。登場人物たちが話す東北なまりもとても好きです。

急展開とか意外な展開とかはなく、淡々と話が進むのですが、800文字の中にどっぷり引き寄せられました。

熊と戦おうとする者たち。
まだ熊は出て来ないのですが、その荒ぶる神の存在がビンビン伝わってきます。

熊はただの熊なのか…それとも…。ここからどういう世界観になっていくのかとっても気になります。



𝐀𝐘𝐀𝐊𝐀さん作『ムレゴリー・チョメザとアラスカの野生犬ぞり隊隊長』

朝起きたら股間が巨大な一本のサボテンになっていた男の物語。

起きたら〇〇になっていた展開。大好物です。
股間が巨大なサボテンはいやですね…。

主人公は戸惑いながらも普通に受け入れてるのが面白いです。

それだけじゃなくて、最後の一行で、急展開。どういうことなの!!??



ひとがた幽さん作『まだらの樹氷』

枯れた森の平原に座り込む巨人の死体がある…。それだけで美しい光景です。
死体で美しいというのもなんですが…。

神話の世界のような世界観で情景が眼に浮かびます。

この先に繋がる世界を私はもっと見てみたいです。



藤六郎さん作『"お嬢様学校”私立ファイトバック女学園』

これはもう、絶対に映像で見たいシーンです。

「ごきげんよう」と言いながらチェーンソー持って襲ってくる女子高生…。

訳あり風な転校生がこの学園でどんなことになるのか、とっても気になります。
神作画なアニメーションで見たいお話です。



しぼりさん作『不意の朝は夜まで響く』

おそろしい事件で物語が始まります。怪事件です。
この先、どんな方向にお話が続いて行くのか気になります。

猟奇的な感じか、超常現象か…はたまた…。

そして「ラブコメ」というタグがつけられていることに気が付き、なぬー!!!となっています。



オズワルドさん作『ハッピネス・イズ・ア・ウォームガン』

素通りできないタイトルでした。
ジョン・レノンの名曲です。

高校生の主人公が偶然みつけてしまった “火縄銃”。

火縄銃というのがなんだかとてもよいです。
マタギを連想します。

誰も知らないところで何かが進行している感がとても面白いです。

この銃と高校生がどのような関係になっていくのか判明する前に終わってしまったので、続きが知りたい…。



以上が今年の私的ピックアップです。
毎年ながらワクワク度がたまりませんでした。

そして今年は女性の参加者が増えた印象がありました。

いろいろな好みとか、思考傾向とか、男性ぽさ、女性ぽさの出るものって時々あると思います。
それは世間のステレオタイプとかとは別物で、もっと根源的な部分です。

※ちなみに生物学的な男女ではなくて精神的な男女の区別です。

それでいうと、パルプ小説はどちらかというと男性的な世界かなと感じています。性別は関係ない…と言い切れない程度に。
これまでの参加者も圧倒的に男性的作者が多かったように思います。

だから、私は女性的視点の参加者が増えるのがとても嬉しいのです。
(仲間を増やしたいだけw)


◎ライナーノーツ的な

冒頭でも書きましたが、今回で私は5回目の参加となります。

初心者なのでお手柔らかに~とは言えない回数になってきました。
ビギナーズラックももう発動しません。

これまでの参加で、何とか1&2次選考まで残っていたし、一度は最終選考まで残ったこともありました。

それでちょっと調子のってたんですね。

なんとですね、去年私は初めて全滅したんですよ…。

いや…毎回、今度こそ全滅かも…とは思っていましたよ。でもまさか本当に全滅しないよね…なんて甘い考えもありました。

ですが、全滅は容赦なくやってきます。
最終選考サバイバーにも容赦なくやってくるのです。

それが『逆噴射小説大賞』です。

去年の全滅を経験して、私は反省しました。
何が足りなかったのか…と考えて、、、出した結論は…

「エモが足りんかった!!!!」

いや、ね、全然的外れかもしれないけど、そういうことにしました。

というわけで、私が今年出した二発を最後に紹介させてください。



パラサイト・アブストラクション

今年はお話が全然降りて来なくて焦りましたよ。
別の企画も並行してやってたのもあるんですけど…。

1本はとにかく超パルプしたくて。なんか荒涼とした大地をバイクで走るシーンなどを妄想していました。

そしたら、急に降りてきました。バンッと。

真っ白な部屋にチョコレートファウンテンみたいになっている女がいるシーンが。

なんでそんなシーンが思い浮かんだのかは私にもわかりません。
でもすぐに、これで行こうと思いました。

このシュールレアリスムの絵画みたいな場面で何が起きたらゾクゾクワクワクするのか考えました。

このチョコ人間は、主人公の妻とかで、いろいろ命令してくるんだけど、夫はそんな妻をまだ愛してるのに切ってしまう。

うーん…それだけでは何の面白みもない…。

二人は何かを探している? 例えば生き別れた子供とか。

主人公が男ならば娘を探しているのがいいかな。

最初の荒れ地のシーンが混ざり込んで来て、家の外が瓦礫の山になりました。

そして娘を探しに出た “俺” が別物もの持って帰る展開となりました。

それがどうして兎になったのか、なんであんなふうに娘に変わったのか…私にも自分の思考回路がわかりません。

読み返すとなんだか文章がスカスカでしたね。。
毎度ながら800文字でやるには情報量が多すぎだったと思います。

欲張りなんですね。



離島 - アンデッド・エピソードファイル

もうひとつは、コミカルなものを書きたいなと思っていました。

なんでこの設定を思いついたのかはよく覚えていません。
どっかから湧いて出ました。

地方公務員が田舎の役場に左遷されてきて、ひっちゃかめっちゃかになる話を漠然と考えていました。

村人がみんな変人だったとか? 全員サイコパスとか??

で、最終的に島民全員がアンデッド、という設定を思いついたのでした。

そこで普通に日常生活が繰り広げられてたら面白いかな~と。

しかし、それだけでは面白くないので、この島で起こる事件ファイルみたいな形式にしたらどうかと思い、このようになりました。

800文字の中では状況説明だけで文字数がいっぱいになってしまい、ものすごく削って削って、最初のエピソードの触りまで何とか入れることができました。

エピソードはアンデットとあんまり関係ないことにして、何?そっち? となったらいいなと思って書いています。

こちらも800文字でやるにはもりだくさんでした。

しかし、1話完結型でぜひ書きたいエピソードが思いついちゃってるので、続きを書けたらいいなと思ったりもしています。



以上です。

みなさんの作品を読むと、本当に自信を失います。。

毎年、次やってみたいことが出てきますね。

それではみなさん、審査結果を楽しみに待ちましょう☆

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