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[あとがき] ひまわり畑を歩く者  [しゅんしゅんぽん]

遅刻してしまいましたが、何とか旬杯の二次創作企画『しゅんしゅんぽん』の短編を書くことができました。

3万文字超えちゃいまして、読むの大変ですみません。

難産でした。

▽本編はこちら

▽しゅんしゅんぽん とは

今回も、みなさんの俳句・短歌からたくさんインスピレーションをいただきました。
ありがとうございます。

この記事では、感謝の意を込めまして、ぽんした句・歌を紹介と、創作の経緯をお話したいと思います。

ぽんする作品はお名前を伏せた状態で選びました。

◎ぽんしたみなさんの作品紹介

ネタバレなし。

私はお話でぽんする時、まずは主軸となる作品から探しています。
そこで出会ったのが ぱんだごろごろ さんのこちらの俳句でした。

ひまわりの迷路一気に駆け抜ける

この句を読んで、何かから逃げているのかな…と私は思いました。
スティーヴン・キングの『トウモロコシ畑の子供たち』というお話を思い出しちゃったんですね。

それで、ひまわり畑が舞台で、何かから逃げているお話にしようと思って、この句を主軸に考えていくことにしました。

本当はもっと爽やかなイメージの句かと思います。
SF・ファンタジー・ホラー脳ですみませんw


続いて、ひまわり畑を駆け抜けている間のエピソードとして、ヒントとなるような作品を探しました。
そこで出会ったのが、ニートン。 さんのこちらの句。

夏の夕 私の影と並んでる

自分の影が何かする…。喋ったり? というエピソードを考えました。


そして影の他にもう一つ。
前川あすか さんのこちらの句も、冒頭のエピソードとして重症な役割となりました。

熱帯夜気化してきみに会いに行く

登場人物のひとりが気化して主人公に会いにくるというエピソードを考えました。


ここまでで、冒頭のエピソードは何となくできたのですが、肝心の、ひまわり畑で何してるのか…が決まりませんでした。
何か衝撃的な設定が必要だ…と思ったのです。

そこで 林白果 さんの俳句です。

塔婆背負い汗ばむ子らのゲゲゲのゲ

何やら狂気的なものを感じるこの句から、墓場の運動会が連想されました。
そうしてひまわり畑で行われているのが、目的のはっきりしない狂ったゲーム…という展開になっていきました。


この辺から、登場人物は少し多めにしたいなという構想が生まれてきました。
極限状態でゲームをしている者たちの人間模様を少し書きたい。

で、しち さんのこちらの俳句です。

手を繋ぎ無言で歩く炎天下

ゲーム中に無言で手を繋いで歩くシーンを入れたいと思いました。
狂気的な世界で、人間らしさをこれで表現したい!


もうちょっと、感情のやりとりも入れたいと思いました。
それで、ぱんだごろごろ さんの短歌が光って見えてきました。

引き返す勇気があれば良かったと俯きながら抱きしめる人

これは禁断の恋を詠っているのかもと思いましたが、物語の中では、何かを躊躇したことで事態が悪化したことを嘆くシーンを入れたいな…という発想が生まれました。
誰かが犠牲になる…。


もう一声。もっと具体的な感情のやりとりを入れようと思いました。
そして切なさの感じられる ちピロさんの俳句に出会いました。

余熱が 中々冷めぬ 昨夜の君

この時点で何人か登場人物を考えていたので、主人公とそのうちの誰かが一夜を共にすることにしようと思いました。
極限状態で求め合ってしまう二人。

この俳句の温度から、それは一夜限りの出来事かもしれない…と構想を練りました。


さて、ここまでで、ひまわり畑で展開されるゲームの大まかな流れが決まってきました。
けど、ゴールがわからん

私はこの物語には、予想を超える “転” が必要だと思っていました。

そのヒントとなる作品を探していて 林白果 さんの短歌に出会います。

誰からも借りられぬまま背表紙の文字はさやけし遠く蝉時雨

一見、繋がりがなさそうなこの歌の世界観をひまわり畑に合体させたら面白いかも…と思いました。

これが「ぽん」の醍醐味。自分だけでは思いつけない発想の跳躍が起こります。

林白果さんの短歌に導かれて物語が自分の想像を超えた方向に進んで行きました。


物語が予想外の方向へ進んでくると、主人公の設定にテコ入れをしないといけない感じになってきました。
この主人公の扱い方で、物語の面白さが左右される! と思ったのです。

人物の設定になりそうな作品を探してみました。
そこで出会ったのが 春~と共に🌸さんの短歌です。

かげもなくかたちもなくゆらゆらとこころもとなくただようものを

ひらがなで表現されたゆらゆらてどっちつかずな感じ…。
これだ…!! と思いました。

主人公の性質にこの短歌の雰囲気をプラスすることで、この人物に “違和感” が与えられていきました。


じゃあ、この主人公は結局、何なの? ということを考えなければならなくなりました。
いろいろ散りばめてしまったので、回収しないといけません。

というわけで、ありっち➰ さんの俳句です。

ガラス戸の向こうは炎天別世界

ガラスの向こうは別世界…という設定が気に入りました。
それで、何パターンか考えたのですが、最終的に、ああなったのです。


ここから、結末までは、今回の旬杯全体の応募作品を眺めながら考えました。

熱さでやられている
…秘めたる想い…言おうとして言えない気持ち
…戦争…。

そんなキーワードが浮かんできました。

それから、大会のテーマである『ずっとみんな一緒だよ』も入れたいと考えました。


そうして完成した物語。

キャッチコピーは 砂の三郎 さんのこちらの短歌です。

手のひらを太陽にすかしてみれば
神よ僕らはみんな無様だ

物語のポスターなんか作るとしたら、この短歌をぜひ入れたいです。
この歌の力を借りて、“それでも生きる” という思いを物語に込めました。


以上が作品の紹介と選んだ経緯です。

って、これ読んでもなんのこっちゃですよね。

これでどういうお話になるのか…気になる人はぜひ本編を読んでみてください。
長いけどねっ。

これまで、私はぽんのあとがきで、物語を作るときに思考回路を全部書いてきました。
今回もそれをやろうと思って途中まで書いてたのですが、どうもうまくいきませんでした。

なぜかって…。

今回は物語を考えるのずいぶん悩みまして、わりと書きながら成り行き任せで書いていた部分が多いのです。

だから、選んだみなさんの作品とにらめっこしながら書いてはいたのですが、どうしてそうなった…という部分が説明できません

私もどうしてこうなったのかわからん。。。

何か書いてたらそうなってしまった…という感じで…。

・ひまわり畑から物語がスタートする。
・ひまわり畑の迷路で狂気的なゲームだかレースをしている。
・登場人物は複数人。
・その中一人が気化する能力を持つ。
・影が喋る。
・時々手を取りながら黙ってひたすら歩く。もしくは走る。
・引き返さなかったことで事態が悪化し、犠牲者が出る。
・主人公と登場人物の一人が一夜を共にする。
・物語の転換に本が関係する
・主人公がわりとあやふや
・炎天下とは別の世界がある
・「神よ僕らはみんな無様だ」という状態になる

これが、みなさんの作品を元に私が辿って来た道筋です。

書きながら物語がどこに向かっているのかまるでわからなくてw
「物語の転換に本が関係する」のらへんから、自分でもびっくりな方へと物語が進んで行って、そこからは一気に最後まで書きました。

自分でも未知なる物語だったので、書くのが本当に楽しかったです。

なんだか結局よくわからないあとがきになってしまったけど。

ぽんさせていただいた皆様。ありがとうございました☆

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