マガジンのカバー画像

ショートショート

139
本
数百文字くらいのお話をまとめ
運営しているクリエイター
大橋ちよ
大橋ちよ

大橋ちよ

[ショートショート] 呪いの臭み―日本ゾンビ化計画―

[ショートショート] 呪いの臭み―日本ゾンビ化計画―

総理大臣がゾンビになってしまった。

日本で唯一のエクソキストである僕が呼ばれた。

ゾンビは悪魔とは違うのだが…まあいいか。
背に腹はかえられぬ。

総理は自宅リビングでゾンビ化していた。

ゾンビ化の原因には、ウイルスや呪術などいろいろある。

総理のリビングにはグランドピアノが一台置かれていた。
そのピアノがどうも臭った。

月一でピアニストを呼んで曲を弾かせていたそうだ。

担当のピアニス

もっとみる
大橋ちよ

大橋ちよ

[ショートショート] 愛は犬の末裔だった―不機嫌な許嫁― [シロクマ文芸部]

[ショートショート] 愛は犬の末裔だった―不機嫌な許嫁― [シロクマ文芸部]

　愛は犬の末裔だった。

　犬というのはかつてこの地上に多く生息していた中型の哺乳類である。

　同じくこの地で繁栄していた人間の友として広まった種族であるが、人間の絶滅と共にその姿を消した…と思われていた。

　だが愛の先祖は代々密かに犬の血を受け継ぎ守って来た。

　愛が成人に達した十六の時、父はこう彼女に告げた。

「この世には、犬の血を引く家系が八つ残っている。我が橋田家もそのひとつだ。お

もっとみる
大橋ちよ

大橋ちよ

[ショートショート] イライラする挨拶代わり

[ショートショート] イライラする挨拶代わり

挨拶代わりはイライラしていた。

何しろ主の修平は優柔不断すぎる。
さっきから悩みすぎなんだよ。

「ちょっと、修平さん。早く決めてもらわないと」

「甘か辛か…ブツブツ」

挨拶代わりはイライラしていた。どっちでもええわそんなもん。

だいたい私にこんなロリなメイド服を着せている時点で、“甘” で決定なのでは？
これで “辛” って訳にはいかんだろう…。

…いやまてよ。

挨拶代わりは閃いてし

もっとみる
大橋ちよ

大橋ちよ

[ショートショート]　文化祭：とある禁忌の退学処分　[シロクマ文芸部]

[ショートショート]　文化祭：とある禁忌の退学処分　[シロクマ文芸部]

文化祭：とある禁忌の退学処分　文化祭で黒魔術を使ったことが発覚した篠崎玲が退学処分となった。

　我が校は国家機関に唯一認められた魔術・占いの専門学校であり、黒魔術の使用は禁忌中の禁忌だった。

　僕はこの件に関してどうしても違和感を覚え、再調査を学校側に再三申し出て来たのだが一向に受け入れてもらえないのだった。

　それで仕方なく独自に調査を始めることにした。

　学校にバレたら僕も退学させられ

もっとみる
大橋ちよ

大橋ちよ

[ショートショート]　癒しの器　[かまいたち／曲からストーリー]

[ショートショート]　癒しの器　[かまいたち／曲からストーリー]

癒しの器　私は かまいたち。そう、あやかしの類。

　今からおよそ五百年前。これは私がまだほんの小娘だったころのお話だ。

　私は人間界のほとり、人里離れた山の中でひっそりと暮らしていた。

　私の主食は動物の生き血だ。
　さっと切ってシュッと吸う。なに、痛くはない。

　人の血が特に好きだった。
　人の血は美味い。何とも言えない美酒のような味がするんだ。

　私は中毒だった。人間の血の。
　次か

もっとみる