ふるさと(詩)
大したところじゃないんです
春の風がなでる川面に
ふたこぶ山が揺れながら
トンビのうたをうたうだけ
大したところじゃないんです
ラジオ体操へ行く弟が
青くさい朝靄 肩にかけ
眠たそうに振り返るだけ
大したところじゃないんです
さみしい犬の遠吠えに
紅葉の葉っぱが震えては
ひとひら ひとひら 舞い落ちるだけ
大したところじゃないんです
石油ストーブのにおいがついた
ほんのり温い手袋と
白い道を歩くだけ
大したところじゃないんです
わたしの愛したふるさとは
大したところじゃないんです
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