支援の神髄・いつの間にか越えていた!できていた!

たかまみーです。

チューニング型フリースクールを運営しています。

私の療育的関わりの軸として据えていること。

「お子さん本人が、
いつの間にかこんなことまでできるようになってた!
え、びっくり!」

という風に、大きな戸惑いなく、これまでしんどかったことを越えてしまってた

そんな風にステップを踏んでいけるような

そんな支援体制を、そんな環境設定を組んでいくこと

それをプロデュースしていくこと

それを親御さんとともに実施フォローしていくこと

だと思っています。

日々考えたり実行したりしていることそのものなので、

あらためて、「これがそうだった」と感じることは少ないのですが

先日「おっと、ここに存在してた!」があったので、書きたいと思います。

・・・

スクールで関わり始めて3年くらいになる小学校高学年のお子さんです。

今まで関わった子の中でも最上級に緊張と不安が強く、

見ていても痛々しく感じるほどの硬さでした。

このお子さんが来始めたころは、私が今のスクールで活動し始めて運営も初期のころで、

私自身も不登校で心が完全に折れてしまった子との付き合い方をまだ見定められていなかったこともあって(そう、私もまだ不登校や引きこもりさん初心者でした)

「とりあえず連れておいで」としていたものの

今だったら、このお子さんに「いきなり連れておいで」はしないだろうと思います。

別の初期の支援が、今ならしっかり「私の中にある」からです。

でも、その頃はまだ、私の中にもアイテムがなかったので、いろいろ試行錯誤させてもらって、本当にごめんねありがとうね、と言いたい。

そんな中、年単位でお子さんは徐々に硬さを緩めていき、

仲良いお友達もでき、毎日楽しく遊び、

笑顔を見ることがほとんどになりました。

無理なことや難しいこともあったりはするけれど、

思慮深いお父さんやお母さんの手助けの元、

一つ一つをよい経験にして踏みしめてきました。

それでも、ご家族や仲良い友達とはフランクに話せるけれど、

私たちスタッフには、必要最低限の「言わなあかんことだけ」を吟味して

ちょっと緊張気味に言いに来てくれる、という関係性でした。

大勢で楽しくワイワイとは遊べるんだけど、一対一で話すことは

かなり緊張してしまうんだなあという印象でした。

・・・

そんな中、お母さんが

「そろそろたかまみーの、【キミの応援団プロジェクト】を

うちの子にも入れたいのですが、どうでしょうか?」

とご相談いただいたことがありました。

【キミの応援団プロジェクト】とは、文字通り

その子の生き方応援を徹底的にする具体策や話し合い

のことであり、

月に一度たかまみーと50分の時間をとって、

お子さん、お母さん、たかまみーの三人でいろいろと話をし、

「じゃあ、一か月でこんなことやってきて。次のプロジェクトでそれをテーマに話し合おう」

みたいなことをやっているんです。

私は主に、思春期を迎え、いわゆる周りとの違いに気づき始め悩み始めた子を対象にこの事業をたちあげたのですが、

本当にこの事業で、大きな一歩を踏み出した子が何人も出てきているので

「我が子にも」と思ってくださったようでした。

・・・

私もいずれ、このお子さんともやりたいなあと思ってはいましたが、

私から声をかけるほどのきっかけも見つからない、そんな時期でした。

お母さんは「我が子のために」とこのお子さんに伝えてみたところ

不安と緊張で絶望的になったこのお子さん、

自宅でずいぶん不穏な空気をまとった日を過ごしたようです。

そりゃあそうです、まだスタッフと一対一では「最低限言わなあかんこと」

しか話したことない状態でしたし、フリートークなど難しいですよね。

それから数か月、いや一年ほど過ぎた頃でしょうか。

私たちのスクールに、大口の休眠預金を使った助成がされることになって

感覚統合の遊具を取り付けることが可能になりました。

借りているお宅の倉庫で、スウィングが一つ吊るのがやっとの空間です。

ダイナミックな設定はできず、かなり活動は制限されますが、

それでも、この遊具で遊ぶことができるようになったのは

私たちスクールの子たちにとって、大きな一歩となった子が続出しました。

またそんな話も書きますね。

で、このお子さんはというと、

遊具に自由に乗ってみた
楽しかった
もっとやりたい
たかまみーとマンツーマンで遊ぶ時間(プレイセッション)の予約が取れるらしい
やってみたい
やってみた
めーっちゃ楽しかったー!!

ということになったわけです。

それで、

「たかまみーとプレイセッションでマンツーマンで遊ぶの全然大丈夫やったし、むしろ面白かったし、キミの応援団プロジェクトももしかしたらできるんでは?」

と感じたそうで、お子さんからお母さんに

「キミの応援団プロジェクト、やってみようかな」

とポロっと話してくれたそうです。

それで第一回目が無事開催されたんです。

一回目のプロジェクトで、
話の流れの中で、このお子さんの特徴を一緒にまとめることになりました。

✕適当でいいよ → ○数字で示してほしい
✕こんなイメージで → ○細かく説明してほしい
✕何か意見はないですか? →○好き?嫌い?と聞いてくれる
✕あれこれどれそれ、しときや~ → ○一つずつ伝えてくれる

こんな風に、そのお子さんが困っていることと
具体的にこうしてくれたら落ち着いて対処できるよってことを言語化することができました。

「そうそう、そういう感じ」

まとめてホワイトボードに書き挙げると、その子自身もすごく納得してくれていました。

そこで、

「でもさあ、プレイセッションってこの✕のことばっかりやってんで~」

と私が言いました。

お子さんが「え??」となりました。

「だって、ただいくつかあるスウィング(感覚統合遊具)で遊ぶってことだけしか決まってなかったやろ?何を話して、どれを選んで、どんな風に遊んで展開するかなんて、何も決まってなかったし、その場でたかまみーとキミとで話しながら決めていったやん。自由に。なんでも良かったやん。」

お子さんは「ほんまや~!」となりました。

「キミとたかまみーとの間に、スウィングがあっただけで、大きな一山を越えられたんやなあと思うと、すごくない?」

お子さんは「えーめっちゃすごい。全然怖くなかった。」と言っていました。

このプロジェクトが終わって部屋を出た後、お子さんはお母さんところに走り寄ってきて

「お母さん、緊張そんなにしなかった。大丈夫やった。」

そう言っていたそうです。

このお子さんにとって、最上級の「うまく行った」表現だと思います。

・・・

こんな風にお子さんにとって、ベストなタイミングで、ベターな方策で、

ひょいっと乗り越えられたり、

簡単にやれるようになっていたり、

面倒くさがらなくなっていたり、

そんな
「お子さん本人が、
いつの間にかこんなことまでできるようになってた!
え、びっくり!」

をプロデュースしています。

それこそ支援の神髄、とも感じています。

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