なりたかった大人になればいい -メガゾーン23-
「メガゾーン23」(板野一郎監督)という、これまた限られた映画館でしか公開されなかった、いわゆるOVAと呼ばれるジャンルのアニメ作品があります。
その作品世界は、実は漂流する大宇宙船の中で、1980年代東京23区を再現して、その時代の東京に生きているとみんなが洗脳されて生きている、地球滅亡後の世界。
「地方に行った」というのは、すべて植えつけられた記憶なんですね。
その世界が「虚構」であることに気づいた少年少女たちは、暴走族のような反体制活動を軍を相手にしている。
そして、その世界をコントロールする要となっている、圧倒的人気を誇るアイドル歌手、「時祭イヴ」(実はマザーコンピュータが生み出したバーチャルリアリティだけの存在)に会いに行くことだけを目標にしている。
(これ、20年以上前の作品!! 設定があまりに時代に早すぎた!! CD開発より前!! 歌手のモデルは明らかに中森明菜ですね)
仲間たちの犠牲の上で、主人公は、ついにマザーコンピュータの中心で、イヴの幻影と対峙する。
そして、嘘つきばかりの「大人たち」への幻滅と怒りを綿々とイヴにぶつける。
彼女は応える。
「なればいいのよ、あなたがなりたかったような、そういう大人に」
(私がアニメで出逢った、もっとも好きなせりふのひとつです)
イヴ(マザーコンピュータ)は、実は軍のコントロールは完全には受けておらず、ラストで始めてわかる意外な形での「世界の再生」に向けて「幻想の自己破壊」へと独自に動き出していたのですが。