【レポート】CXOnight#6 「CXOのリアル」に行ってきた話 〜前編〜
こんにちは、チカ(@mahorohoro)です。約1年ぶりのnote更新です!
今回はこちらのイベントに参加してきました。
今回note枠での参加ではないのですが、とっても勉強になったのでアウトプットのためにもまとめようと思います!💪
今回のイベントの登壇者は以下の6名の方々でした。
・堀江 裕介さん(dely株式会社 代表取締役 CEO / TRILL株式会社 代表取締役社長)
・大竹 雅登さん(dely株式会社 執行役員 CTO)
・坪田 朋さん(dely株式会社 執行役員 CXO / Basecamp CEO)
・田川 欣哉さん(Takram 代表)
・広野 萌さん(株式会社Basecamp CXO)
・Go Andoさん(THE GUILD 共同創業者 / YAMAP CXO)
ご、豪華……!こんな貴重な機会を作ってくださったことに感謝しかありません🕊
🌟 🌟 🌟
【前編:delyがCXOを起用した理由】
Q:なぜこのタイミングでCXOを起用したのか?
堀江さん:
メディア市場が今後厳しくなりそうだと思っている。インターネット産業は世の中の1,2パーセントしかない。まだ奪い合っているのはスマホを見ている平均1時間。 世の中にはスーパーが何兆円の売り上げがあるスーパーや食品メーカーなどがあるのに、動画の市場ばかりを奪い合っていてもいいのか?と思った。
「 お客さんの本当の笑顔を見たい」と考えた時に、目の前までプロダクトが届く・配送をきちんと作るなどまだまだできていないことがたくさんある。それはデザインだけでは解決できない。デザインだけで一概に世の中のサービスを全部変えられなくなってきている。
デザインとは何か?と言ったら、「ユーザー体験する全ての接点」のこと。カスタマーサービスかもしれないし、家に届く時の箱を開けるタイミングでどういう体験をするかかもしれない。(Appleの箱を開ける瞬間など)
ここ数年、料理動画なんてどこでもいいと思っている。「クラシルで見ている自分が誇らしい」という体験を作るために、ユーザー体験全てを洗練させてお客さんに笑顔を届けるんだ、と。リアルに染み出すタイミングがきていて、その節々の全ての接点を洗練させるタイミングだった。
大竹さん:
デザインは分業化すると難しい。そのトップに出る人はトップクラスの人に来て欲しいと思った。来てくれると一番嬉しい人=坪田さんだった。
堀江さん:
坪田さんが「リアルな体験をやったことあるか」どうかではなく、「やる意思があった」のが決め手だった。おそらく今後デザイナーという職業がソフトウェア上での動きを作るだけからはみ出ていくんじゃないかと思う。
坪田さん:
1月くらいにFacebookで連絡して、飯食べに行って。そこで事業の話を聞いて堀江さんと竹さんにベタ惚れして、そこからちょっと一緒にやりたいなみたいな。
次会ったら、竹さんが手書きのA4のシートにしてほしいことや条件を書いてくれていて、これは入るしかないだろ!と即決めしました。
堀江さん:
ITの会社だけでなく、いろんなメーカーがやっとデザインに着目し始めてきた。そういう会社から「一緒にやらないか?」と言われて決断を迫られるデザイナーもここ数年出てくると思う。
Q:Basecampを子会社化した理由
堀江さん:
一流のライター、デザイナー、フォトグラファーに頼みたい=ブランドになっていく。 多くのものがコピーされる時代、ブランドだけはコピーされない。流石にいいクリエイターが企業に属すことがあまりない。だからクリエイターを縛るんじゃなくて、開いていって一緒にコラボレーションしよう、くらいの気持ちでBasecampに興味を持ち始めた。
坪田さん:
1社、1人でやれることは限られている。一緒にやるときに会社と会社でシナジーを生み出せるかみたいなところはこれからチャレンジしていきたいところ。今後こういうモデルケースも増えると思うので、ロールモデルになれたらいいと思っている。
堀江さん:
ただキュレーションメディアがPVを集めていた時代から、本当にそれが選んでもらえるのかっていう時代に移っていると思っていて。僕はPVをいくつか分けていて、そのうちの能動的PVのための全ての作業をする。それがいちクリエイティブ・いちデザイン・いちカスタマーサポート。
・構造的PV:ググってブランドを意識せずたまたまアクセスした
・受動的PV:プッシュが送られてきたら見る
・能動的PV:ブランドになる
大竹さん:
事業やサービスづくりは総合格闘技になってきている。これまではあるスーパーエンジニアが作ったらそれだけでサービスが伸びていた。これからはしっかりデザインが隅々まで行き渡って、どのタッチポイントから触ってもそのサービスがいいよねと感じてブランド化してファンになる。技術もできて、AIも使えて、データも活用できて、という超総合格闘技化がどんどん進んでくると思っている。
堀江さん:
ブランドとは何か?という話をよくする。12月25日にペプシコーラとコカコーラがあったらなんとなくコカコーラを買う人が多い。値段も味も同じだけど、コカコーラは毎年世界平和に対するメッセージ動画やCMを出している。こういうことがブランドだと思っている。
普通は機能性や値段で比較するはずなのに、思考停止して意思決定を極端に下げてしまうものがブランド。それを作った会社がここ5年で勝つ。こういうのをできる会社がなかなかないから、メディアと一緒に作っていこうという話をしている。
Q:CXOに参画したことで、dely社内で変化はあったか?
大竹さん:
全てのタッチポイントでクオリティの高いサービスを提供する。想いははあってもできていないところもあったが、しっかり坪田さんがいて組織として統一されているから、会社としてアウトプットのクオリティが上がっていると思う。
堀江さん:
多くの会社が、人数が増えると分業化する。部署が分断されて業務が細分化されてしまうので、クオリティをコントロールするのは直属の上長になる。この上長同士で認識がずれていることがあるため、ここを横串で刺して責任を持って全部を見て、クオリティコントロールをきちんとするのがCXO。
Q:delyの目指す場所は?
堀江さん:
僕らは外で食べることを否定しているわけではない。デリバリーは家で食べるっていうジャンルでいうと一緒。この全てを何かしらの形で全部実現していきたいと思っている。
料理は月間で多くの人に届けられるようになったけど、それで人生が変わったかというと変わっていない。ものすごいユーザー体験かというと、他と変わらない。
当たり前のように美味しいだけじゃなくて健康的な食事とか、料理の多様性全ての課題をクラシルというブランド・サービスが解消できると思っている。外食以外の全ての市場においての食のタイミングの幸福度をあげられたら、どれだけ世の中がハッピーになるだろう、と思っている。
そしたら戦争がなくなるレベル。そんなちっぽけなことだけど、ちょっと世の中変えられるかなみたいなことをクラシルでやりたいと思います。
大竹さん:
食の領域において負が大きいのは間違いない。食の流通や物流などめちゃくちゃ難しいポイントがいっぱいある。もっと課題は深掘っていって、もっとこうしたらいいんじゃないかとか今の技術ならこうできるんじゃないかとかを日々タックルしている感じですね。
堀江さん:
メキシコ人が肉じゃが知っていたらどう思うか?お金のかからないところで幸福度をあげられるっていう結構稀な手段だと思っている。食における情報格差はめちゃくちゃある。どこかのタイミングで、動画だったら世界共通でどこの言語でも伝えらえるので、それはやりたいなと思っています。
Q:「一流のデザイナー」とは?
堀江さん:
点で見ていないこと。1つのLPを作る事で行ったら、坪田さんやメンバーより優秀な人はめちゃくちゃいる。いろんなことを線で考えて、論理的思考能力があって、インプットの数が多くて、あらゆる意思決定の幅と縦の深さを全部考慮した上でこのクリエイティブを作ってます、って言ってくれる人にすごく納得感が出る。
アートな世界に見えるけれど、その裏にはすごいロジカルな意思決定が必要だと思っている。それが坪田さんと会話している中で明らかにわかった。
なので、綺麗なクリエイティブを作るだけだと納得はいかない。だけど、その裏にこういうユーザーの負があって、こういうユーザーエクスペリエンスになったら明らかに数字が改善するしユーザーも喜ぶよ、マーケティング上もこんなことをやったほうが絶対このLPは映えますよ、みたいな。
思考の幅が広いくて深い人。そのためのインプットをしてる人っていうのが、僕にとっては一緒に働きたかった人で、それが坪田さんでした。
大竹さん:
ほぼ完全一致なんですけど、プラスで言うとあとはコミュニケーション能力が高い人は一流であることが多いです。コミュニケーション能力は成果出すときは超重要だと思っている。
堀江さん:
いいデザイナーって今後ビジネスが自分で作れると思う。論理的思考能力があるから、LPを作ることに関してもあらゆるインプットをしていてあらゆる意思決定の中からそれを選んでいる。だとしたらそれはマーケティング、営業にも生きる。
結構デザイナーが自分でサービスを作ったり起業したりすることはものすごく合理性あると思います。エンジニアも然りですけれど。
Q:1ヶ月でいろんな上長の意見を全てCXOに集約するために何をしたのか?
堀江さん:
コミュニケーションの世界だと思っている。執行役員やマネージャーレイヤーの顔を合わせる機会を意図的に増やしている。分業化していて、Youtubeだけのことを語るにしてもいろんな観点があって、マーケティングと一緒にセットに語らないとエンジニアやデザイナーがいくら頑張っても難しい。本当にお互いのコミュニケーションの問題かなと思っています。
大竹さん:
slackでのコミュニケーションの取り方が坪田さんは超うまい。いきなり入ってキャッチアップするスピードが桁違いに早い。それはシンプルに坪田さんの能力だと思います。
坪田さん:
delyは全部情報が可視化されているからそれがしやすい環境ではあるのかなと思う。1週間くらいで全部の情報が見られるようになった。その辺の透明性がすごく高い。
Q:世界観はどう作ったのか?
堀江さん:
一番最初、クラシルの世界観って全員がイメージが湧かなかった。クラシルってどんな世界作り上げるのとか、クラシルのグッズがあったらどんな感じとか。例えばPinterestとか使ってお互いのクリエイティブのイメージ共有したりっていうところから始まった。
ロゴやコーポレートサイト作るときも一回「delyってどんな会社にしたいんだっけ?」っていうのをポストイットにみんなで書いて集約して、それをひたすら話すみたいなのをやっていた。経営合宿の時はあえてそういうエモい話を最後5時間くらい取ってるのかな。意図的にそういう時間を設けないとなかなか発生しない。
僕らも悩んでて。世の中の負を解決してる会社ってかっこいいよね、みたいなのになって、俺らって料理だからあんまり負を解決してないよね。この前NPOの人に聞いたんだけど、よりよく暮らせるような仕組みを作ることもことも世の中の貢献になるんじゃない?みたいな。
だからマイナスをプラスにしてないかもしれないけど、プラスだったものをさらにもうちょっとさらにプラスアルファ幸福度を高められるんじゃないの?みたいな、具体的な話をしていて。
やっぱり日常業務の中ではなかなか忙しくてできないので、意図的にやらないとなかなか出てこないですね。
Q:次に出てくる課題は?
大竹さん:
デザイナーとか会社の人数が増えたときにどうクオリティコントロールしていくか、というのは超重要かなと。僕がさっき好きって言ったAppleは何千、何万といかるけど出てくるサービスのクオリティはすごい統一されているし、僕が好きと思うものがどんどん出てくる。そういうのは課題かなと思います。
堀江さん:
坪田さんが見られる範囲って、全体は見られるけどディティールは見られなくなってくる。一番問題なのは、定量化できない抽象的な課題をどれだけ意思疎通できるかだと思っている。言語化、スタンダードの基準を揃えることが将来的に課題になってくる。
既存の業務だけじゃなくて新しい業務が発生し続けるので、クオリティコントロールの課題が出てきたときに、坪田さんがやっている作業を今のメンバーがまた自分のチームメンバーに言語化して伝える作業が必要になってくる。そこの抽象化を頭の中で思い描いているアート的なイメージを一致させるところがめっちゃ難しい。
🌟 🌟 🌟
前半部のまとめはここまでです!CXOという職業に求められるスキルの広さや難しさ、今後デザイナーという職にも求められるものの広がりを感じました…!!
文章量が多くなってしまったので、後半はこちらのnoteにまとめております💪
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