見出し画像

ウエディングフォトでパンツドレスを着た話

"パンツドレス"という言葉をご存知だろうか。一見すると矛盾した単語に思えるかもしれない。
ドレスなのにパンツ?どういうこと?と困惑する方も多いだろう。

パンツドレスは言い換えてしまえば、ジャンプスーツの正装版だ。結婚式や謝恩会の二次会などで、女性はスカートのドレスを着るのが一昔前の定番だったが、今ではパンツタイプのドレッシーな衣装がいろんなブランドから発売されている。
ここ数年でパンツドレスを正装の場面で着用する方もぐっと増えたと思うので、見かけたことがある人もいるかもしれない。

パンツドレスは実は、ウエディングドレスにも浸透してきている。ELLE marriage no.35では、パンツタイプのウエディングドレスを着たモデルが表紙を飾っている。

今日で実は結婚式を挙げてからちょうど1年経つのだが、性自認が“女性"ではないためにスカートに抵抗のあるわたしは、挙式でもパンツドレスを検討した。だが、パンツドレスは、身長が高くないと着こなすことが難しい。150センチほどしかないわたしが着るといささか華やかさに欠けてしまい、主役感が薄れてしまうので、夫のアドバイスなども鑑みて諦めた。

しかし挙式から約半年後の新婚旅行で、もう一度ドレスを着る機会を得た。周囲の先に結婚した子たちが、ハネムーンでウエディングドレスを着て撮影しているのをインスタなどで見て、わたしもやってみたい!と思い、夫と相談の上せっかくだし記念にと旅行先のマルタ島でウエディングフォトを撮ることに決めたのだ。

この機会に、挙式で地味になってしまうからと諦めたパンツドレスを着たいと考えたわたしは、インスタやネットを漁りまくった。そして行き当たったのが、ショートタイプのパンツドレスだった。ショートパンツであれば、背が低いわたしにでも着こなすことができる。

中でもデルフィーヌ・マニヴェというブランドのウエディングドレスが、セーラームーンのようなデザインで気に入った。はちゃめちゃに高かったのだが、実際に店舗に赴いて試着したらもうダメだった。速攻ノックアウトだったし、店員さんにもお似合いですよと乗せられて、ほいほいと購入してしまった。

以下、実際の写真を載せていく。

画像1

このお腹の部分のリボンが、いかにも変身できそうでツボだった。

画像2

画像3

画像4

わたしと同じように、性自認が男女どちらにも当てはまらないXジェンダー、ノンバイナリー、ジェンダー・クイアの方々の、「結婚式やウエディングフォトをやりたいけれどなにを着たらよいかわからない」という苦悩を耳にすることは多い。その気持ちはとてもわかる。

ウエディングドレスには抵抗があるが、かといってタキシードを選んでしまっても、それはそれで男性的になりすぎて受け入れ難く、なにを選ぶべきか迷ってしまう人も多いだろう。その理由で、「ウエディングフォトも結婚式もしない」という結論を出してしまうのは寂しい。

もちろん、わたしみたいに機能不全家庭で育った人や、毒親育ちのため、その他様々な理由であるなら、積極的な決断なので良いと思う。だけど、それが衣装によって「諦める」という消極的な選択であるのなら、ちょっと立ち止まってみて欲しい。

せっかくのパートナーとの記念である。しっくりくる衣装がないからといってそれ自体を取りやめてしまう前に、こういう服装もあるんだよ、という参考になれば嬉しい。

また、ウエディングドレスのパンツタイプは、ロングはじわじわと知名度を上げてきているが、ショートはなかなか見かけない。わたしと同じように、パンツドレスを着用したいが身長がネックになっている方は、ぜひショートタイプを検討してみて欲しい。

ちなみにこのドレスは、友人たちには大好評だった。珍しいから記憶にも残りやすいし、目立ちたがりやのわたしには、その意味でもうってつけの衣装だった。

そしてハネムーンにマルタ島を選んだのも、人とは違う行き先にしたかったという魂胆がある。ウエディングフォトといえば、よくハワイやグアムなどリゾート地のビーチで撮影しているイメージがあるだろうが、そんなありがちな写真は嫌だったというなんともひねくれた理由で、マルタを選んだ。街並みがめちゃくちゃにかわいかったし、新婚旅行先をここにしてよかったと心から思う。
現地のカメラマンさんに依頼をしたのだが、日本語を少しだけ知っていて、「見つめあって!」「笑って!」と片言で指示を出してくれ、結果とてもよい写真を残すことができた。

読んでくださってありがとうございます。サポートはFIP闘病中の愛猫エピーの治療費に使わせていただきます。