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雑誌探訪「ムー 2024年6月号」①

ムー 2024年6月号(No.523 第46巻第6号)ワン・パブリッシング


あなたの知らない「源氏物語」

日本でも最も有名なミステリーマガジン「ムー」で、源氏物語(げんじものがたり)の特集が組まれていました。

題して、「あなたの知らない『源氏物語』 雅な平安絵巻に隠された恐るべき呪術」。執筆はフリーライターの古川順弘(ふるかわ のぶひろ)さんです。

とても明瞭でわかりやすく、古典文学が共通してもっているミステリーとしての楽しみが伝わる記事だと感じました。

数回にわたって、その内容を紹介していきます。


第一の謎『源氏物語』に「オリジナル」はあるのか

他の古典文学にも言えることですが、古文で書かれたものの「オリジナル」、つまりこれこそが正真正銘の作者が書いたものです……というものは、現存していないことが多いです。

それもそのはず。1000年以上前に書かれたものが、そのまま残っていることが難しいことはわかります。

ですから、作者である紫式部(むらさきしきぶ)の書いた源氏物語は、現存していないということになります。


今のような印刷技術がない時代には、文学は書き写され、広まっていきました。

そのうちのいくつかが、現代に伝わり、それを参考に、我々は古典文学を読むことができているのです。

当然、書き写されるうちに、書き間違ってしまったり、あるいは、意図的に書き換えられたりもしたようです。

そうなると、現代に伝わるものの中にも、それぞれが違った文章になってしまうことが多いのです。


我々が教科書で読んでいる古文は、そのうちの一つを採用したにすぎません。ですから、それが筆者が書いたものと一致しているかどうかはわからないのです。

ですので、教科書で採用されている本文と、ほかの単行本や文庫本で読む本文が異なっていることだって、珍しくありません。それは、もとにしている本(底本:ていほん、そこほん)が異なるということです。

記事にもありますが、現存している源氏物語の中で最も古いものが、藤原定家(ふじわらのていか、ふじわらのさだいえ)が書き写したとされるものだとされています。ですから、これを底本としていることは多いようです。


記事では、源氏物語を書き写したもの(写本:しゃほん)として現存しているものが、三系統に分かれることを紹介しています。

まず、藤原定家の写本とそれに類似する流れを持つ「青表紙本(あおびょうしぼん)系」

次に、河内守(かわちのかみ)であった源光行(みなもとのみつゆき)、源親行(みなもとのちかゆき)親子による写本の流れを持つ「河内本(かわちぼん)系」

そして、それ以外の「別本(べっぽん)」です。

これらの違いを読み解いていくことも、文学研究のおもしろいところです。


「ムー」は電子版はkindle unlimitedでも読むことができます。


執筆者の古川さんは、「紫式部と源氏物語の謎55」という本も書いています。


執筆者:古原大樹/1984年山形県生まれ。山形大学教育学部、東京福祉大学心理学部を卒業。高校で国語教師を13年間務めた後、不登校専門塾や通信制高校、日本語学校、少年院などで働く。2024年に株式会社智秀館を設立。智秀館塾塾長。吉村ジョナサンの名前で作家・マルチアーティストとして文筆や表現活動を行う。古典を学ぶPodcast「吉村ジョナサンの高校古典講義」を公開中。学習書に『50分で読める高校古典文法』『10分で読める高校古典文法』『指導者のための小論文の教え方』がある。

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