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Wingspan(感想)_穏やかな時間とゲーム性を両立させたバランスの良さ

『Wingspan』は2019年にStonemaier Gamesから出版されたボードゲーム。私がプレイしているのはSteam版で、50%OFFセール(¥1,025)につられて購入したのだが、ちょっとした空き時間の気分転換に最適だからほぼ毎日プレイしている。
私の大人になってからのボードゲーム経験は、『街コロ』『カルカソンヌ』をプレイしたことあるくらいの初心者。
拡張セットは未購入で、購入してから1週間ほどしかプレイしていないが、以下その感想などを。

美しいグラフィックと優しいBGM

まず手描きタッチで緻密に描かれた170枚の鳥たちのイラストが美しく、カード上で鳥たちが動く様子もなんとも愛らしい。さらにカードをタップするとその鳥の鳴き声まで聞ける。
そうしてBGMは繊細なアコースティックギターの印象的な優しい楽曲だから、リラックスした状態でプレイできる。

本作のように美しいビジュアルに惹かれて購入したゲームは経験上、ゲーム性の低いものが多く、数時間プレイすると飽きてしまい名前すら思い出せないゲームが多い。
しかし、本作は2019年にボードゲームの盛んなドイツで賞を取っているだけあって、ゲーム性も優れている。

Wingspanでは4ラウンド26ターンを使って、森林、草原、湿地それぞれに条件の合致した鳥カードを配置していくのだが、鳥カードを配置するためには餌や卵が必要になってくる。
餌は鳥カードを配置するのに必要だが、基本的に点数へ加算されないから餌を獲得する「森林」へ積極的に鳥カードを配置したくない。
だから点数としてカウントされる卵の手に入る「草原」や、鳥カードの手に入る「湿地」へ鳥カードを配置したくなるが、鳥カードの属性や点数によっては草原に配置したほうが高得点を狙うことが可能であったりと、本作には数手先を読んで戦略を練る楽しみがある。

手に入る鳥カードは運次第だから、配置する組み合わせを考えるだけで飽きないし、数手先のことを考えて配置した各鳥カードの持つ固有効果によって、餌、鳥カード、卵などが徐々に増えていくのがまた楽しい。

戦略を練る楽しさ

本作では最大5人のプレイヤー同士での勝利点を競い合うことになるのだが加点にはいくつかの種類がある。

・各鳥の点数
・ボーナスカードによる加点
・ラウンド終了目的
・卵
・鳥カード上に蓄えた餌
・差し込んだ鳥カード

これらが全ターンを終了すると自動集計されて、各点数ごとに棒グラフが右へ伸びていく様子を眺めるのもまた楽しい。

合計点がはじめて100点を越えた時の嬉しさは格別で、特に強いとされている『シロエリガラス』を序盤に草原へ置けたことが大きかった。
かといって、烏のような卵と引き換えに欲しい餌を手に入れられる鳥カードをドローすれば必ず勝てるというわけでなく、4つのラウンドボーナスの全てで1位を獲得すれば合計22点になるし、他プレイヤーが卵を産めば自分の卵も増やせる効果の鳥もあるので、他プレイヤーの進捗を気にした駆け引きの要素もある。

それでいて、このゲームには全プレィヤーに餌を与えてくれる鳥カードなど、プレイヤー同士が助け合う効果を発揮する種類の鳥カードもある。
いわゆる相手にダメージを与えて勝利するPvPゲームに疲弊している時の息抜きに丁度良く、肉ばかりではなく、たまには野菜を食べたくなるようなイメージが近い。

ボードゲーム版との比較

Wingspanにはードゲーム版とsteam版があり、ボードゲーム版をプレイしたことが無いという前提での比較となるが、それぞれの長所と短所を考えてみた。

まずボードゲーム版の良さで考えると、紙の質感の手触りであったり他プレイヤーの進捗把握など一覧性の良さがフィジカルならでは。
なにしろSteam版では画面内に表示出来る情報量は限られるから森林、草原、湿地全てを表示する一覧性のあるレイアウトだと、鳥カードの効果が表示されない。
さらに他プレイヤーの進捗を見るためにはいちいち画面を切り替えるのが手間なのと、自分のカードとの比較を同画面で出来ないのもマイナスだと思う。

次にSteam版の良さを考えてみる。
私の場合まず同じ場所に他プレイヤーを集めるのが困難だから、AIと対戦できるのは素直に嬉しい。
さらに手番ごとの鳥カードの効果発動であったり、点数計算を自動でやってくれるのもお手軽だ。ものぐさな人には終わった後の片付けの手間が省けるのはありがたいし、他プレイヤーの動向を気にしなければだいたい1プレイあたり20~30分程度で終わるから負けてもすぐに新規プレイを始められる。

チュートリアルも、説明書を読む手間が省けて良かった。シリアルキラーを想起させる不気味な笑顔で応対してくれるロビンに違和感ありまくりだし、「鳥カードをプレイする」などの独特な言い回しは気になるところだが、そんなのは慣れたらどうってことは無い。
また、本作は「Remote Play Together」にも対応しているので、オンライン対戦にもいつか挑戦してみたいところ。
MacとWindows両方に対応しているのもユーザーを選ばないし、高いグラフィックボード性能を求めないのも有り難い。


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