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Goldfrapp2000-2004年(感想)_耽美で退廃的な電子音楽

Goldfrappは、Will GregoryAlison Goldfrappによる1999年結成のデュオ。『Silver Eye』以降ユニットとしての活動はご無沙汰だが、2023年にはAlison Goldfrappのソロがリリースされた。
以下にGoldfrappとしてリリースされたアルバム/シングルといくつかのソロ作品についての感想などを。


Lovely Head (2000年)

1stアルバムからのリードシングルでレーベルはこれ以降のリリースもMuteから。本作以降全てプロデューサーに外部を起用せずにセルフプロデュースとなる。
暗いダウンテンポの曲はシングルカット向きなキャッチーさは無い。
口笛の音色が牧歌的だけど寂寥感があって、怪しいシンセサウンドも存在感を放っている。そこへゆったりと歌い上げるヴォーカルが合わさってなんとも奇妙な世界観の曲。
B面にはオリジナルを踏襲したリミックスが2曲収録。
ヴォーカルを加工したことで暗い靄の中を歩いているかの視界の悪さのある「Lovely Head (Staré Mesto)」が好き。
初回リリースではチャートインしなかったが、「Pilot」との両A面シングルとして再リリースされてUKシングルチャート68位。


Felt Mountain (2000年)

ジャンルとしては、ダウンテンポ、フォーク、エレクトロニカなど様々な要素が混在しており雰囲気は全体的に暗い。

寂寥感があって深い孤独を感じさせる音楽は美しく魅惑的。映画音楽のようだと評される本作はどこか懐かしくて、場末のキャバレーのようでもある。
終始テンションは低めでキャッチーさは無いが、夜なんとなく気分の落ち込んでいる時とかに丁度よいから何年経っても聴いていられる名盤。UKアルバムチャート57位。


Utopia (2000年)

1stアルバムからのシングルカット。拡がりのあるサウンドがポジティブな印象だが、歌詞は遺伝子工学について語っているらしく、サビでは「Fascist baby」と歌われており不穏。
リミックスでは浮遊感のある「Utopia (New Ears Mix)」が好き。


Human (2001年)

3枚目のシングルカットはマンボのようなリズムで怪しい感じ。UKシングルチャート87位。
808 StateGraham Masseyのリミックス「Human (Massey's Cro-Magnon Mix)」は、少しノイジーなブレイクビーツだけどイマイチ。


Utopia (Genetically Enriched)(2001年)

ビートを強調したUtopiaのセルフリミックスはUKシングルチャート62位に。
B面収録曲が素晴らしくて、か細いAlisonのヴォーカルとブレイクビーツの組み合わせが素晴らしい「Utopia (Tom Middleton Cosmos Vocal)」がフロアユースの名曲。
別ミックスの「Utopia (Tom Middleton Cosmos Acid Dub)」はハウスビートで、ウネるベースがグイグイくる感じでこちらもなかなか良い。
また、「U.K. Girls (Physical)」Olivia Newton Johnのカバーで、トリップホップみたいなダウンテンポで雰囲気が素敵。


Pilots (2001年)

1stアルバムからのシングル・カットで、スペイシーなシンセサウンドが印象的なダウンテンポ。脱力感のある宇宙のイラストと妙に合っている。
CDでのリリース時は、B面に「Horse Tears (Live)」が収録されていたが、ひたすら暗い。


Train (2003年)

2ndアルバムからのリードシングル。UKシングルチャート23位。
存在感のある変態的なシンセベースがブイブイいってるダンス・ミュージック。

この曲にはリミックスはいくつか存在しており、「Train (Ewan Pearson 6/8 Vocal) 」が原曲のメロディーを踏襲したハウスビートで踊れる。
正直Goldgrappについて、1stアルバムの頃はそんなに注目していなかったのだけれども、この曲から新譜を目にしたら必ず購入してしまうほど、のめり込んでいった。



Black Cherry (2003年)

2ndアルバムはUKアルバムチャート19位。
グラムロックやダンスビートによる電子音楽は、1stアルバムからガラリと方向性を変えてきたが、セールス的に成功している。

時代の流行りとしては80sのNew Waveへの回帰があった頃で、見事にそれに乗っかったポップなメロディーとダンスビートの音楽なのだけど、消費されてダサくならないのは、つくり込まれたサウンドと音色の選択センスのおかげか。
退廃的で耽美なヴィジュアルも良かった。メイクやファッションのせいで幼く見えるけど、Alison Goldfrappはこの頃すでに37歳で、遅咲きでブレイクした大人の色気もあった。


Strict Machine (2004年)

グラムロック風の曲で、暗くて重たいビートとAlisonによる甘ったるいヴォーカルの組み合わせに中毒性のある曲。左右対称にビジュアルが展開する万華鏡のようなPVも好きだった。
UKシングルチャート25位。

この曲はVictor Calderone、Peter Rauhofer、Benny Benassiなど様々なプロデューサーによってリミックスされているが、ミニマムで空間的な拡がりのある「Strict Machine (Ewan's Strippedmachine Remix)」が好き。

他にも列車の音が挿入されていて疾走感溢れる「Train (Ewan Pearson Dub)」も収録されており、「Train」のリミックスではこのバージョンが最もフロア映えすると思う。
とにかくこの頃のGoldfappEwan Pearsonの組み合わせが最高の組み合わせだった。

2ndアルバムリリース当時のアートワークは、Alisonがケバいメイクとゴシック系のファッションと、頭にシベリアンハスキーや兎の被り物の女性(被り物をしているのはGwendoline Christieという女優さんとのこと)がいたり。強めのライティングと白い背景に、ラフな手描きの特徴的なタイポグラフィーというのが退廃的でありながらどこか下世話な感じが好き。
ヴィジュアルが好き過ぎてわざわざ12インチシングルで購入してしまったりしたほど。


Twist(2003年)

UKシングルチャート31位。
存在感を主張するゴリゴリのシンセサウンドがイケイケなんだけど、ギリギリ適度なところで留まっているおかげか嫌な感じはしない。これも佳曲で、2ndアルバムからのシングルカットはどれも好き。

リミックスでは、余計な音を削ぎ落としてフロア向けに仕上げた「Twist (Jacques Lu Cont's Conversion Perversion Mix)」がまぁまぁ良かった。


Black Cherry(2004年)

2ndアルバムからの4枚目のシングルカットは、UKシングルチャート28位。これまでの3枚のシングルと異なり、美しいストリングスの印象的なバラード。
B面にはアルバム未収録の「Gone to Earth」が収録されているのと、チルアウトできるダウンテンポ「Forever (Mountaineers Remix)」が良かった。


長くなってきたので、2005年以降のリリースについては次回以降。


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