時報11月12日(日)
063 時報11月12日(日)
君へ
山に雪が降りかかっている。
初雪ということばが好きだ。
二文字とも白を基調として、<初>は桃色と黄色が薄くひかれ、<雪>は淡い水色が滲んでいる。
初雪をみるとき、誰と、どこで見るかも<色>はちがってみえる。今年はどんな<初雪>をみるだろうか?
今日は東座で映画を観る。
En Corps|
緊張感ある尖った繊細なバレエと、闘志と迫力のある大地のようなコンテンポラリーの対比を、色遣いと音楽、演技から感じた。
J'aime と言ってくれない父親の愛。
今見られてよかったと思う映画だった。医学生としての挫折、じぶんの表現方法を探す道を眺める今。コンテンポラリーダンスを始めようとしている今。何よりダンスがかっこよかった。安心して踊れる雰囲気があった。じぶんをさらけ出しても大丈夫なような。そんな表現をしたいと思った。それから、もっと自由に恋愛をしてみようと思った。私はじぶんの<考え>にいつもがんじがらめにされているような気がする。
|理想郷
難しい映画だった。言葉になりにくい。地獄のような地域に固執して生きるひと。観衆と同様にその生き方に疑問を抱く娘。
そういえば、私は、バス停に座っているのが好きだ。乗らないのに。心が沈んで、散歩に出かけた帰りにふとバス停のベンチを見つけると座ってしまう。ソウルだと、「あ、この次のバス待ってます」っていう雰囲気でいられる。だけど松本だと、絶対来たバスに乗るはずだから不思議な目で見られている気もする。運転手さんごめんなさい。必ず来るバスと、そこに乗り降りする人々をみるとなんだか安心する。なんでだろう。あの人の生活の一部にいて社会の一部になれた気がするから?人間の存在が確認できるから?そういう意味でいえば、私はカフェや飲食店も好きだ。知らないひと同士が同じ場所に集って何かを食べる。出ていく人がいて、入ってくる人がいる。
君もよかったら試してみて。
今の時期、バス停に座り続けるには寒すぎる。今日はバスが一台も来ないうちにすることもない家に帰る。
20231112 日曜日