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パーマカルチャーについて

091 パーマカルチャーについて

人文学部のとあるゼミが開いた、焚き火を囲んだ読書会に参加した。
ビル・モリソンの”Introduction to permaculture”を読んだ。何を読むか知らずに訪れ、予備知識なしで読み進めることになった。

パーマカルチャーというのは、人間にとっての恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことである。

この本に絡めつつ、読んで思い出したことを綴っていこうと思う。


「保存」

位置エネルギーの減少

山の方へとある程度傾斜のある坂を自転車で登っていたとき、位置エネルギーを貯めているなあ、とぼんやりと考えていた。しかし、このエネルギーは帰りにこの坂を下ることであっという間になくなる。

私たちは、様々な方法でエネルギーを抽出し、便利で快適な日常を送っている。ボタンを押せば、お風呂が沸き、部屋が暖かくなり、誰かにメッセージを送れる。とても楽だ。そして、それはつまり、エネルギーを生み出しているのは自分ではないということである。ではエネルギーはどこから来ているのか?

坂を上っていないのならば、ただ今ある位置エネルギーを消費して便利に過ごしている。私たちはただ落下しているのだ。ここにある資源を消費して楽に過ごしている。

落ちる、落ちる、落ちる、、、

自転車に乗りながら、私はそんなことを考える。

「有機性」

宮崎駿の町

虫眼とアニ眼(養老孟司、宮崎駿, 1997)という本がある。

実は、Introduction to permaculture を読んで最初に浮かんだのが、この対談の本の最初の挿絵だ。垣根を越えて子どもが遊びまわる。農業だけでなく、まちづくり、医療、建築に関する考え方だと思う。詳しくはこの2冊の本を読んでみてほしい。

オンラインストアのアマゾンの分業、繋がりの乏しさを挙げてみる。送り手、届ける人、受け取る人がお互いの顔をみることはほとんどないだろう。

有機的な繋がりはエネルギーを要する。人付き合い、地域の繋がり、職場での人間関係、それらを保つことは、ときどきつらいと感じることもあるが、そのおかげで助かったこともあるだろう。肝臓がグルコースをグリコーゲンとして蓄えるように、苦労してエネルギーを貯めた分、食べ物が手に入らないとき、異化してエネルギーを取り出すことができる。

私は、そんなまちで医療を提供したいと思う。医療を提供した対価として金銭を受け取る。それは生業として当然なことだ。それだけではなくて、まちの人々のネットワークの中で生活をしたい。お祭りで出し物をしたり、健康相談にのったら野菜をもらったり、飼っている猫を預かってもらったり(飼っていないので空想)、楽器の弾き方を教えてもらったり、音楽会をやったり、とっても魅力的だと思う。

「循環」

江戸からのメッセージ ー今に生かしたい江戸の知恵

中学1年の国語の教科書に載った作品「江戸からのメッセージー今に生かしたい江戸の知恵」(杉浦日向子)を時々思い出す。特にモノが消費されていく瞬間を見るときにもやもやする感覚に気が付いたときに。ディスポーザブルな商品を見たときに。

浴衣であれば、古くなったら赤ちゃんのおしめにし、それが古くなったら雑巾に、それも駄目になったら裂いて縄や敷物に編んだり、よって鼻緒の芯にしたりした。ここまで使い切り、それがぼろぼろになって果てれば、火にくべる燃料とした。さらに江戸っ子達は、最後に残った灰までも利用する。・・・

江戸からのメッセージー今に生かしたい江戸の知恵

これを読んだ時、美しいなと感じた。その感覚は今でも変わらない。こんな生活をしたいものだと思う。自分のもとに来たものは使い果たして返していきたい。使えそうなものはだれかに譲り、穴の開いた靴下はダーニングをして可愛く生まれ変わらせ、服は縫い合わせてつぎはぎのおしゃれな服に、、、

ものをつくるときに、この道具はどうこの生を終えていくのかというのを意識してつくる段階に来ていると思う。

商品を買うとき、私はこれが壊れたら自分で直せるのか、或いは、誰かに修理をお願いできるのかをよく考える。または、私から離れていくときにその価値がどれだけ落ちるのか、ということも考えてみる。ファストファッションは引き取ってもらえば御の字、石油でできた布は雑巾としても使いにくい。それでも機能面やデザイン性から着続けられそうなら、廉価な衣服を使うことは悪いことではないし、私もよく着ている。質の良いものやブランド物なら、古着として他人に受け渡しや買取も可能だろう。

「消費者」もまた何を選ぶのか検討しなければいけない。「消費者」という名の通り、手に入れたものを消し去っていく存在というのはあるべき姿ではない。モノは自分を通過していく。自分のもとに来たものを上手に返してあげる。生ごみは肥料として、紙は資源として、、。ゴミについて考えるようになるだろう。

ここで、私の関心があるのは、生理用品のゴミだ。使い捨てプラスチックの生理用品は、近年環境負荷が大きいことが指摘され、女性の身体に悪影響があるのではないかということが研究が進められている。代替として布ナプキンを使用する人もいる。布ナプキンの使用は月経観の変容とも絡めて、研究も行われているようだ。ここについてはまた調べてみる必要がありそう。

書籍

虫眼とアニ眼(養老孟司・宮崎駿、1997)
https://www.shinchosha.co.jp/book/134051/

2025.01.22 23:00 久しぶりの躁状態に調子に乗ってこんな時間まで起きている!明日も実習なのにどうする!?


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