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若い時に必要なことは、まだ脆弱な自分を大切にすること

「『あの人は絶対に正しい』と思いたいのなら、それはそれでいい。しかし重要なのは、きみと直接に関係のない“あの人”のことなんかじゃなくて、『きみが、“絶対に正しい”と思う人の言うことを聞いて、きみが“なに”を発見したのか』なのだ。『一体、その人の“なに”が、自分にとって“重要なこと”なのか』だ。それをきちんと言えるようにならない限り、きみはいつまでも“周囲から浮き上がっているへんなやつ”だろう。
きみは、自分のことを説明したがって、しかし自分のことを一向に説明していなくて、ただ強い調子で“教祖への支持”を語っているだけなのだから。
“一人宗教”の悲劇とは、そんなもんだ。問題は、『なにが正しいか』じゃない。『なにが必要か』なのだ。そのことを正直に言えるようにならない限り、きみは“一人宗教”の泥沼にいるだろう。

重要なのは、『あの人はなにを考えているのだろう?』ではない。『あの人の言うことで、自分に必要なことはなんだろう?』なのだ。きみはまだ若いのだから、自分とは関係のない他人のことなんか考える必要はない。それを考えて、“評論家”なんかになってもしょうがない。自分に必要なことがなんなのかを考えて、それを拾う。そして、それを自分の役に立てる若い時に必要なことは『まだ脆弱な自分を大切にすること』で、『特別な“なにか”になって現実を見返してやろう』じゃないのだ。あんまり悲しいことを考えない方がいい。」
橋本治『貧乏は正しい!ぼくらの最終戦争』


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