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差し伸べられる手は色んなところから色んな風に出て来る〈日めくり橋本治〉
きっと、誰かが手を差し伸べてくれるんだ、そしたら僕だってきっとその人を愛して上げることが出来るんだって思っていた磯村くんは、その差し伸べられる手が実は色んなところから色んな風に出て来るんだっていうことを知らなかったんですね。そして、差し伸べてくれる、その相手の方だって、色々こわいから、出したり引っこめたりしてるんだってことに気がつけなかったんですね。
自分だって実はそんな風にしてるのに。
これは大学生になる年頃の、男の子二人の物語。
人は誰しも一人で生きているわけではなく、影響し合ったり助け合ったりすることを、頭では知っていながらまだ実感できていない時期。
自分も誰かに向かって手を差し出したり引っ込めたりしながら、誰かから差し伸べられる手に気づいたり気づけなかったりする。
とっても繊細で少し切ない、でも美しい物語です。