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マスターしたあとの二つの選択肢〈日めくり橋本治〉

「自分の外にあるものを習う。その限りで、自分の外にあるものは『本物』で、自分は未熟な『偽物』だけれども、それをマスターしてしまったら、マスターしただけの『本物』と言われるものは、『自分と一線を画した異物』でしかない。
それからどうするのか?その先には二つの選択肢がある。

一つは、『異物のままのものを更に自分に引き寄せて、自分なりの本物に変える』」
「もう一つは、『まだ本物ではない自分は偽物だ』と断じて、ひたすら本物へ近づく道。」
「道は二つある。でも私は、『自分に合致した、“偽物”の皮をかぶった本物』も好きだ。いや、すべての本物は、そういうものだろう。」
──橋本治『日本式ザッツ・エンターテインメント』(『川田晴久と美空ひばり アメリカ公演』内エッセイ)

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