おウチdeお肉の怖い話
最近、あちこちに出店している精肉専門の無人販売をご存知だろうか?
ピンクに光るネオンと少し薄暗い店内。そこに並べられた冷凍庫には馬肉、牛肉などの精肉だけでなくクッパやアイスクリームまで並んでいる。
この無人店舗は少し変わった戦略で急拡大中だ。
実際に購入した消費者として個人的な感想を綴っていこうと思う。
結論からいうと、このビジネスは中所得者層以下をターゲットにした高利益率のセドリである。
1.その値段は適正?
まずはじめに注目したいのが商品価格だ。
はっきり言って高い。高すぎる。
例えば
120gのハンバーグは400円
50gの馬刺しは1000円〜3000円
スープは1人前800円〜900円
といった具合だ。
馬肉の値段なんて分からない。と思うかもしれないが、一度手元の端末で「馬刺し 相場価格」と調べてみてほしい。1300円/gも出せばでそこそこの品質のものが手に入るとわかるはずだ。
因みに、取扱っている商品はこの企業のものである。
熊本馬刺し屋
そして一度購入したことのある、馬肉が大好きな筆者から言わせれば、コスパは良いものではない。
赤身の商品もサシの多い商品も筋が固く、美味しいとは言えない。
熊本馬刺し屋での販売価格を見てみればわかるが、40%程の利益を上乗せして売られている。言い換えれば、馬肉のプロである熊本馬刺し屋と消費者の間に大きな価格ギャップが生じているということ。
馬肉が好きな筆者としては熊本馬刺し屋の企業努力が無碍にされているように見えて仕方がない。
あえて強い言葉で言う。
おウチdeお肉は、相場がわからない人たちに、40%もの利益を上乗せして転売するビジネスだ。
価値は個人が納得するかどうかであるから、このビジネスモデル自体になにか問題がある訳では無いということはハッキリ、明確に示しておきたい。
しかし、一般的な商品の利益率が20%程度であることを踏まえると利益率は高く感じる。
馬肉は確かに九州以外では手に入りにくい。しかし高所得者であるならば、高タンパク低脂質の馬肉は珍しいものではない。
おそらく無人店舗で買うことは無いだろう。
では中所得者以下はどうか。スーパーで買うことは難しく、なんとなく高級品というイメージを持っているのではないかと思う。無人店舗というコストがかかっていなさそうな店舗で売られているものを「安い」と錯覚してしまうのではないだろうか。中にはリピーターになる人も出てくるだろう。
つまり運営側からみてのターゲットである。
このビジネスを俯瞰してみた時、私には消費者に利益はあるのか甚だ疑問である。ただ一方的に搾取しているように思えるのだ。
2.万引きありきの無人販売
オウチdeお肉をニュースで知った人も多いのではないだろうか?
それもそのはずで、FCオーナー向けのQ&Aに万引き被害を宣伝に変える仕組み、コネがある旨が明記されている。
実際、Twitter上での観測のみではあるが、放映されたであろう日付周辺では「おウチdeお肉」に関するツイートが激増し様々な論争が巻き起こっている。
おおよそ意見は次の2つにわかれている。
性善説によるビジネスをしている方にも非がある
どのようなビジネスモデルだろうと万引きを許すべきではない
運営側が思い描いている通りの反応だろう。
前者を思う人々に対しては知名度を上げることに成功しているし、後者を思う人々の中には実際に足を運ぶ人が多くいるだろう。
まさに万引きで失った金銭は宣伝費である。
私はもう一つ効果があるのではないかと考えている。それは「大衆は味や価格など店側に不利なことを話題にしない」ということだ。
この話題を口にする人たちにとって当然ながら「万引き=絶対悪」は前提である。だからこそ 「どう対策するべきか」つまり「どのようにして悪と立ち向かうべきか」を語りたがるのだ。
もし万引きの被害が一つもなかったらどうだろう。
筆者のようなただの肉好きが「期待を裏切られた」とあちこちに恨み辛みを書き、ビジネスとして成り立たなかったのではないだろうか。
また現状、万引き対策はカメラと貼り紙のみで、店の造りや仕組みとして何かあるわけではない。そして万引きが相次いでいるが、大きな対策をしているわけでもない。
このガードの緩さは万引きを選択肢の一つに含んでいる人たちに対しての罠ではないのかと考える。
あえて万引きのハードルを下げ、メディアに情報を提供し、善良な市民に正義について考えさせることで知名度と売上を伸ばす戦略なのではないだろうか。
もしそうなのだとしたら、出店地域の治安を脅かしていることについてどう考えているのか聞いてみたい。
3.広告の不思議
万引き以外にもう一つ、不思議な点を紹介したい。
おウチdeお肉についてTwitter、Instagram、ネット記事を調べたが筆者と同じようにおウチdeお肉を懐疑的に見ている人は誰もいない。むしろ「このビジネスは素晴らしい」「たくさん買った」などと好意的な意見しかない。
あまりにも不自然なほど誰も批判的に見ていないことに気づく。
現在はまだ広告としての投稿しか無いのだろう。あるいは何らかの脅しがあり削除したのかもしれない。
筆者自身、利益率や懐疑的な意見を書き社会から消されてしまうのではないかと恐怖しながら筆を執っている。
ブラウザの検索欄に「おウチdeお肉 あやしい」と入れたことがある。
検索結果に出てきた記事は商品に問題がないかどうかについての「あやしい」に関して解説していた。
つまりこれはどういうことかというと、運営はSEO対策済みであるということだ。
おウチdeお肉の「あやしい」は思いついただけで沢山ある
無人店舗であやしい
ネオンがあやしい
急拡大があやしい
商品があやしい
運営母体があやしい
などなど…。
「あやしい」の矛先を絞っておくことで、本当に触れられたくないところをガードしているように感じる。
各店舗はFCオーナーが経営していることは明記しているが、運営母体に関しての情報が公式サイト上にないことも不思議で仕方がない。
4.さいごに
この記事を読んだ上で店舗に足を運ぶかどうかは皆さん次第です。
ただ、私の個人的な思いで言えば出来ればプロから買ってほしい。飲食店でもいい。
転売という何も付加価値を生み出さない所から買うのではなく、生産者や料理人の思い、店の雰囲気に価値を見出してほしいと願っている。