ホームシックになるマンガ『その女、ジルバ』
以前、ドラマ化していた『その女、ジルバ』。
池脇千鶴の変貌ぶりがすごい!と話題になっていたので気になって見てみたら、
「40歳なんてまだまだ若い!女はこれからよ!」
みたいなセリフのオンパレードで、
当時30代前半の私にとって、「40で若いなら30なんてどうなっちゃうのー?」と、なんだかポジティブになれる優しいドラマだった。
とても好きなドラマで、思わず原作の漫画を大人買いした。
でも、いつも1巻の途中で読み進めるのをやめてしまう。
主人公はデパートの販売員として華々しく働いていたのに、“姥捨”にあって倉庫勤務になり、毎日特に生きがいもないまま40歳の誕生日を迎える。
それがひょんなことから、高齢ホステスしかいないスナックでホステス見習いとして(若すぎる!ギャル!などと言われながら)働くことになり、その店が1番ホッとする居場所になっていく。
ブラジル移民で、日本にやっとのことで帰ってきた先代ママの話や、主人公自身も地元に里帰りする話などが出てくる。
この物語は、自分の居場所がテーマになっていると思う。
読み進めていくうちに、どうしても、地元を離れて海外に嫁いだ自分の状況と重ねてしまう。
私は地元が好きだ。
冬が長くて寒くて辛いけど、雪は綺麗だったし、夏の気候は最高。
漫画の中で、ブラジル移民だった先代ママは、幼い時からブラジルで過ごしていたけれど、両親が日本のことをずっと話して聞かせていたという描写がある。
その両親の気持ちが、2歳の娘に対する私の気持ちと重なる。
娘は日本と台湾のハーフで、今後は台湾の現地の幼稚園や小学校に通わせる予定だ。
日本の国籍も台湾の国籍も持っているけれど、きっと、“日本にルーツのある台湾人”になっていくのかなと想像している。
一方で、私は台湾生活に慣れてきたとは言っても、日本人というアイデンティティは色濃くて、台湾に帰化するなんて考えられない。
娘にも、日本を好きになってもらいたい、日本に愛着を持ってもらいたいと願っている。
やっとコロナがおさまって、去年、初めて娘を連れて日本へ帰った。
私が子どもの頃に歩いた道を、娘がよちよち歩くのが、とても嬉しかった。
私が卒業した小学校で、未就学児の親子が集まるクラブ活動のようなものをやっていたので、娘を連れて行ってみると、他のお母さんから「この小学校に入れるんですか?」と声をかけられた。
周りを見てみると、お母さんたちは、地元の幼稚園や小学校の情報交換に熱心だった。
私も台湾では、他のお母さんたちと、台湾の幼稚園生活や小学校生活について、必死で情報交換しているから気持ちがわかる。
でもここでは、「台湾に住んでるんです」しか言えない。
「旅行で行ったことありますよ!いいところですよね」「海外に住んでるなんてかっこいいですね」そんな会話しかできない。
幼稚園や小学校についての有益な情報がほしいとか、ママ友を作りたいと思って来ている他のお母さんたちをガッカリさせたくなくて、わざとあまり仲良くならないようにしていた。
久しぶりの帰省は楽しかったし、地元の友達にもたくさん遊んでもらったけれど、台湾にいるママ友や、ママ友と一緒に子どもを連れて会っている時間が恋しくなったりもした。
だんだん、台湾に居場所ができている証拠かもしれない。
それはとてもありがたいことだ。
でも、地元と台湾、どちらにいても、どちらかが恋しくて、少し寂しい。
もし地元で結婚していたら、こんな気持ちを味わうことはなかったのかな、なんて考える。
自分の生まれ育った場所で、自分と同じように娘を育ててみたかった。
そんな思いが自分の中にあるなんて、子どもを産むまで知らなかった。
『その女、ジルバ』を読んでいると、そんな私の今と重なって、なんだかすごく寂しい気持ちになるのだ。
別に泣くシーンじゃなくても、心がキュッとなって泣きたくなる。
ここに書いたようなことを、ぐるぐると考え始めてしまって、ページを捲る手が止まる。
そして、もう1つの“あったかもしれない”自分の未来に、主人公を重ねたりもする。
台湾人の旦那と結婚していなくて、日本で独身で40歳を迎える自分だ。
この主人公みたいに、自分の居場所だと思える職場を見つけて働けただろうか?
主人公が昼間に働く倉庫は給料が安く、同僚たちは、仕事にやりがいなど求めていないし、もう歳だから、と恋愛や結婚も諦めている。
主人公はスナックに出会ったことで、イキイキとし始めて、昼の仕事にも精を出すようになる。
スナックの高齢ホステスたちの、いつまでも女っぷりを忘れない姿勢に影響を受けて、ヒールのあるパンプスを買って、昼の仕事にもおしゃれな服を着ていくようになる。
私も、このマンガを読んでいて、この高齢ホステスたちの何歳になってもおしゃれを楽しむ姿に憧れる。
私も台湾という新しい居場所で、毎日を楽しんで生きていきたい。
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