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読書人間📚百年文庫『劇』クライスト.リラダン.フーフ


百年文庫『劇』

2011年2月10日 第一刷/ポプラ社



▶︎クライスト『拾い子』1811年発表 訳/中田美喜
道端で拾った子を善良な気持ちで養子に入れたばかりに、"天国へは行けない、地獄へ行く" と荒れ狂う。
「私は天国に行ってはいけないはずのニコロとめぐり合って、この世では満足に遂げられなかった復習をやり直すのだ」
養子ニコロは確実に地獄行きだろうが、地獄の子に誘われた善良な老人までも地獄とは。自らも悪意の連鎖に嵌るとは、拾い助けたあの時は思いもよらない。

ハインリヒ・フォン・クライスト(ドイツ.1777-1811)は愛人とピストル自殺をしますが、経済的にも不遇であったというクライストの最期を考えるには十分過ぎる心理を描いた作品です。


▶︎リラダン『断頭台の秘密』1883年発表 訳/渡辺一夫
ギロチンの痛みをどの程度、人は感じているのか? 考えた事がある人はいるでしょう。生命の神秘なる想像は無意味、"歯が落ちる"速さに反応できる人間なんていないでしょう。

ヴィリエ・リラダン(フランス.1838-1889)は幼い頃から夢想性があったそう(やっぱりか)。ワーグナーと交友を持ち、エドガー・アラン・ポーにも影響を受ける。生涯貧困で病死の四日前に長く側にいた女性と結婚するあたりが、もう全然知らない人な感じがしない。


▶︎リカルダ・フーフ『歌手』1910年 訳/ 辻瑆
殺人罪で処刑される高慢で、粗暴な、極悪非道の犯罪人の妙なる歌声に教皇さえ心を奪われる。
その歌声は力と光沢と甘美のテノール。

フーフはドイツ人女性(1864-1947)ノーベル賞文学賞の候補に推薦されるなど、学業でも優秀であった高名な哲学者であり詩人、小説家。フーフの声楽曲も存在するので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。
と言っても残念、丁度良いYouTubeを日本人では見つけられませんでした。


少ーしずつ百年文庫、集めています。装画がこれまた鮮やか。スピンの色合わせも拘りが丁寧でうっとりします。

装画  安井寿磨子
装丁・題字  緒方修一


♟声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

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