![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158161738/rectangle_large_type_2_160726264328b7cdc2c0f29529a21fa1.png?width=1200)
【突撃!! 循環器診療についてショウジ先生に聞いてみた!】 第1回 Prologue
飯塚病院の総合診療科には,病棟診療部門(ホスピタリスト)と外来診療部門があります.なかでも,病棟診療部門では「一般チーム」と呼ばれる比較的軽症,あるいは安定している患者を受けもつ診療班と,「重症チーム」と呼ばれる重症患者を集約して診ている診療班があります.病院全体の病床数に比して集中治療室(ICU)のベッド数が少ない状況をカバーするため,循環作動薬や人工呼吸器管理を必要とする患者は「重症チーム」で担当しており,年間550症例ほど診ています.そのうち60%ぐらいが敗血症性ショックや合併症/併存疾患で複雑化した敗血症です(図1).
そういった敗血症の蘇生期(resuscitation phase)を乗り越えた患者が,治療過程で体液量過剰(fluid overload)や敗血症性心筋症で心不全に陥ることも多く,輸液の4つのphaseでいわれるところの,①蘇生期(resuscitation phase)に続く,②適正化期(optimization phase)と対峙することに加え,③ 安定化期(stabilization phase)と,④ 脱蘇生期(de-resuscitaion phase)の管理に難しさを感じていることも多くあります.
敗血症ではなくとも,慢性心不全を抱えた患者が何らかの合併症や併存疾患により病状が悪化した場合は,強心薬や血管拡張薬を使いながら非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)で呼吸補助を行うなど,総合診療科で担当することもあります.また,緩和ケア科と連携し,心不全末期の患者ケアにかかわることも増えてきました.ひとことに心不全といっても病像が万華鏡のように多彩で,かつグラデーションやスペクトラムも幅広く,考え方や治療薬の使い方について循環器内科医がどう考えるのか,その流儀がとても気になっていました.そこで……ショウジ先生に聞いてみた!
![](https://assets.st-note.com/img/1729062129-ihzemu62Scr9bjyqZx0f7O8D.png)
⼼不全って正直,苦⼿
![](https://assets.st-note.com/img/1729062349-ef25GSyKqmEsJD7v69MIxBnz.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729062482-cnpsYaLDIVgz49y8HS7NEkQA.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729062581-mtQdB3UgM2KvePlVrRbIYASa.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729062598-iVJ4oDkjUXsSdFC0NQ6uGxyB.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729062630-lm02QNfgPADbzToWOjUEhCMk.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729062647-CNf1LgZ7asH6dMYq39p4w8Wk.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729062911-ZdJAEVSjnmI6yx1W0QrToGch.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063011-8GpKxkaWCvhdT0tYjcXDLJiy.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063028-vnl6pIH4NAa5Wmu078iTXQdL.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063047-VmiOadLRJKbT1AZCw5oc4xgG.png)
そうして始まった⼼不全カンファレンス
![](https://assets.st-note.com/img/1729063086-JmD8BfZTbs3vGcoNtgIwRXz2.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063100-KjOEiFHQpSsWwLhM3UaNz07I.png)
まず,われわれ循環器内科は⼼不全で入院している患者に対して蘇⽣期と判断して輸液するようなことはありません.もちろん⼼原性ショックであってもルーチンの輸液負荷は推奨されていません.そういう患者さんは⼼筋梗塞の治療として冠動脈病変への介入が中⼼になりますし,機械的循環サポート(mechanical circulatory support:MCS)が入ってしまうと集中治療室で管理することが多いですよね.
ドブタミンやミルリノンといった強⼼薬のほか,⾎管拡張薬や利尿薬を中⼼に治療を組み⽴てていくというところは,総合診療科と考え⽅や流儀が異なる⾯もあるかと思います.
![](https://assets.st-note.com/img/1729063116-3HI9FhtWzEkXTKqoR8U1xSec.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063143-N0TUmrCO96LQwlYo4XaDG5Kh.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063162-dt8XVx79DGziHE4QnFaMLucs.png)
そもそも,⼼不全って何なんでしょう?
![](https://assets.st-note.com/img/1729063175-UZ4aOhVv7xzREqQon2MC5rIm.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063196-bTH10wX6S4aiQNJMBIygkU95.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1729063223-NPERTOyGCoVjSDbBxgXutAa3.png)
ホットトピックで例をあげると,今どきは「ファンタスティック4」が取り沙汰されているので,SGLT2阻害薬を中⼼に紹介しながら,循環器内科としての考え⽅や流儀を⽰したいと思います.利尿薬の代表であるフロセミドなど⼼不全治療薬の使い⽅や考え⽅も補⾜しながら,双⽅の「⼼不全の景⾊」を共有して,シナジーを⽣み出せると嬉しいですね.
![](https://assets.st-note.com/img/1729063287-a789xw0FTHECotM1dGvJkW3Q.png)
当院で2022年の秋から始まった⼼不全カンファレンスですが,総合診療科と循環器内科とのコラボレーションとして有意義な機会となっており,1〜2 ヵ⽉に1回の頻度で⾏い,⽇々の診療を振り返りながらブラッシュアップしていくなかで新たな学びを得られています(図2).次回からは⼼不全の基礎的内容に基づきながら,循環器診療のエキスパートの流儀に照らして現場でいかに実践していくか? に焦点を当てた内容を展開していきます.
![](https://assets.st-note.com/img/1729064042-8MnNx31HTtOdm5W6eBbUfVkA.png)
(次回に続く)
※本内容は「治療」2024年10月号に掲載されたものをnote用に編集したものです