【書籍紹介】とびだせ‼ 飯塚漢方カンファレンス 漢方処方のプロセスがわかる
みなさまは漢方薬を普段の診療で使うことはありますか?
頭痛に五苓散
ホットフラッシュに加味逍遥散
ヒステリー球には半夏厚朴湯
などなど,ある程度の知識があって取り入れている方も増えてきているのではないでしょうか.
しかし,です.
その処方,漢方薬を選んだ根拠は説明できますか?
「ぐぬぬぬ...!」と思ったあなた,
そして「もっと漢方を使いこなしたい!」と思っているあなたにおすすめの書籍ができました.
あれ、この文章、どこかで読んだ覚えがあるぞ!と思ったあなたには特におすすめできる『飯塚漢方カンファレンス』の第2弾が完成しました!
本書籍は2021年に刊行された『あつまれ!! 飯塚漢方カンファレンス 漢方処方のプロセスがわかる』(以下、あつ漢)の続編です。
リョウ先生(ペリカン),ヒロミ先生(ネコ)と前巻のT部長から代わったヒロキ部長(シロクマ)の3名で行われるカンファレンスの様子を読んでいくことで、漢方医が外来で診察~治療まで行う場面に居合わせているような感覚で学ぶことができる構成となっております.
なお続編ということで,「あつ漢」とは別の漢方薬や症例をピックアップしておりますが、漢方診療の基本概念や脈診・舌診・腹診について解説したパートはブラッシュアップしつつ継続して掲載しております。 少し応用編とはなりますが、本巻『とびだせ!! 飯塚漢方カンファレンス 漢方処方のプロセスがわかる』(以下、とび漢)から読んでいただいても問題のない作りとなっております。
本の目次
「総論」は基本がわかる親切設計
はじめの総論では初学者の方にはとっつきにくい、漢方理論の概要をわかりやすくまとめています。
はじめはふむふむと眺めていただいて、次のカンファレンスパートに進んでもらってもよいですが、わからない点があればいつでも戻ってきて確認しましょう。
文章だとわかりにくい脈診・舌診・腹診は写真つきで解説していますので、見ながら手技も覚えられます。
各カンファレンスでは,この本のキモである「漢方診療のポイント」を繰り返し確認していきますので、総論の解説で事前に頭に入れておきましょう。
漢方医の問診と処方決定のプロセスがわかる
カンファレンスパートでは、項目ごとに症例を取り上げて解説していきます。
リョウ先生、ヒロミ先生、ヒロキ部長の会話形式で進むのでサクサクと読み進められます。関連する知識もどんどん披露されるので、項目で取り上げる症例だけでなく、いろんなパターンを想定して学ぶことができます。
毎回「漢方診療のポイント」に沿って進めていくので、1冊通して読むと、すっかり診療の型が身についている、というカラクリです。
「あつ漢」を読んでいただいた方からも、これを実感されたという声をたくさんいただいております!
今回からの新要素!
「あつ漢」からの第2弾ということで、良いところはそのままに進化した部分もあります。
まずは各カンファレンスの後に、テーマに沿った鑑別処方の解説が設けられております。
カンファレンスのおさらいになるとともに、プラスαの知識や使い分けに関してまとめられており、知識を深められるコーナーとなっています
もうひとつ、巻末に古典の条文をまとめた付録をつけております。
漢方はを学ぶうえでは、それぞれの病期や漢方薬がどのように定義されてきたか、プロトタイプを知ることで理解がはかどります。
温故知新とはいいますが、長い歴史の摩耗に打ち勝ってきた処方であることがわかれば信頼度が高まりますね。
編集部目線の編集後記
今回は「とびだせ!!」ということで、飯塚から離れて島にやってきたカバーデザインとなっておりますが、この島は吉永先生が地域医療を担われていたときに過ごした玄界灘に浮かぶ「相島(あいのしま)」をモチーフにしております。
島の観光地である、めがね岩やハート岩を使いつつ、相島は「猫の島」として有名ということもあり、カンファレンスにはヒロミ先生のほかにも猫が集まってきております。ヒロミ先生の講義、猫たちはまるで聞いてなさそうですね…
リョウ先生も浮き輪をはめて参加しており、講義が終わったらそのまま海に…という魂胆がみえます。
今回諸事情で「あつ漢」で登場したT部長からヒロキ部長に代わっておりますが、本書を読んでいるとどこかでT部長にも会えるかもしれません。
ちなみにシロクマのヒロキ部長は鹿児島っぽいアイスがお気に入りのようです。
カバーの背景には福岡っぽいタワーとドームが見えますが、これはプロ野球ホークスファンの吉永先生の心象風景と思われます。
タイトルのとびだせ‼の左に鳥の影が見えますが、これはカモメでもなければ鷹でもなく、イヌワシです。イーグルスファンの私の心象風景です。
幸運なことにシリーズ本にすることが叶った本作ですが、このシリーズのわかりやすさについてはあつ漢をつくってから漢方にハマってしまった私が保障いたします。
西洋医学では良い対処法がない患者さんにも手を差し伸べられるのが漢方のいいところですので、「飯塚漢方シリーズ」でリョウ先生達と楽しく漢方を学んでいただければ嬉しいです。
文責:カーター
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