カンガルーノート/安部公房
良いです。面白い。シュール。
脛からかいわれ。走るベッド。賽の河原。坑道。
気持ち悪くて不気味。
一歩間違えば(間違ったと認識してなくても一歩何気なく踏み出したら)こういう世界が待ち受けているのかもしれないと、本気で思えるところもコワイ。
村上春樹好きの私は村上さんと何度か対談した河合隼雄さんの本を読むようになって、その河合さんの著書の中に【心の声を聴く】という、いろいろな人と河合さんが対談している内容のものがあって、そのうち対談している人の一人が、阿部公房さんでした。
河合さんと阿部さんの対談で阿部さんは
「病院のベッドの車輪で本当に街中を走れるか不安だった」といい、
「かいわれじゃなくちゃダメなんです、もやしでは中華になってしまう」と言う。
河合さんも感心してらっしゃいましたが更に
「皮膚から何かが生えるというのはものすごく気持ち悪くて、皮膚というのは外界と体を仕切る境だから本当はものすごく奥深い」
と言う。
そんな会話が気になり、この「カンガルーノート」を図書館で借りた次第です。
こういうポップなものを描く日本人の作家さんというのは、貴重な気がします。2010年09月17日 22:02
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