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枯れてゆく姿も美しい花になる。

届いてから、かれこれ10日以上経つバラ。

先日のセミナー(AEAJアロマ大学ローズ学科レポ【五感で楽しむ和ばら】)で教材として送られてきたものです。

こんなに長くもつバラ、初めて!

最初とはもちろん姿かたち、香りも変わってるのですが、まだまだみずみずしくて、本当に驚いています。

毎日朝起きてすぐ切り花の様子を見たくなるなんて、今までなかったこと。

切り花って、土植えと違って、あとは死にゆく運命というか、枯れてしまうものというイメージでした。

スーパーで売ってるカジュアルな切り花や、お花屋さんで特売されているお花とか、つい手頃なので買ってしまうのですが、そういうのは美しく咲き誇っているのはほんの数日だけ。

早ければ翌日には首をもたげて、さみしい風情になってしまいます。

長持ちさせるために「切り花の延命剤」も売られていて、お花屋さんによっては花を買うと小袋でつけてくれることもありますよね。

この和ばらの場合、それが不思議なんです。

バラってそもそも水揚げが難しく寿命が短いので、もちろん延命剤を入れて花瓶に挿しました。

延命剤を入れると、ほとんどの場合、翌日は全く変わりなく綺麗に咲いています。

ところが、この和ばらは花弁の縁が少ししぼみ、明らかに前日とは様子が違うのです。

あー、やっぱり。

普通のバラ以上に繊細な感じだもの、相当デリケートなんだわー。延命剤入れてもダメか。。

そう思って、次の日には普通の水に変えてしまいました。

たぶんもう長くはないんだろうなと諦め気分で。


でもそこからが、いわば大逆転? 毎日の様子に目を見張ることになったのです。

今日はもうダメかな、え、まだ? じゃあ今日は? え、今日も?

・・・おかしいなあ、なんで今日もきれいなんだろ。

花弁の様子も、香りも、毎日ほんの少しずつ確かに違い、ばらは「枯れて」いってるのです。

でも、日々、美しい。

その変化は写真に収めたくなるほどに。

一言でいうと「生きている」、そういうことなんだと気づきました。


この和ばらの生産者、「ローズファームケイジ」さんのHPへ改めて再訪してみて、さらにその謎が解けました。

山や森で育つ植物のように健全に、有機物の循環を促し、ばら自身の持つ力を引き出す栽培。
「いのちを感じるばら」を育てる。


一度目にしていたはずの言葉たちが、ばらの姿を通して実感として迫ってきて、大げさなようですが、なんだか感動!!してしまったのです。

言い方はすごくヘンですが、この和ばら、他人とは思えない。


咲き誇った娘時代をとうに過ぎて、アンチエイジングだのなんだのと「老い」に抗って生きている中高年女子の私たち。

年なんてとりたくない。少しでも若く見られたい。

私をはじめ、ほとんどの人がそう思ってるといってもいい時代です。

でも、生き物が枯れてゆく姿って、本来はこんな風に美しいものじゃなかったんだろうか。

土壌(知性とか人格とか)を肥し、しっかりと根を張って、最後まで美しく時を重ねて生きる。

美しさの延命剤(過度なクリニック治療とか整形とか?)でずっと同じ姿形を保ったとしても、それはやっぱり「不自然」さが見抜かれてしまう。

特売の脆く短命な花なんかじゃなく、枯れてゆく姿も美しい本物の花になりたい。

切実にそう思いました。


これからの人生のお手本みたいな和ばら。

お正月まで長くもつのを見込んで、年末に届くものを新たに注文しました。

もう盛りは過ぎたけど、どっこいまだまだみずみずしい、

今の私みたいな?笑 和ばらと、新しい年を迎えたいと思います。


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