温泉施設に物申す
常々、風呂の入り方は大きく分けて2種類あるんだなぁと感じている。
A.「先に身体を洗ってから、湯船につかる人」。
B.「先に湯船につかってから身体を洗う人」。
前者は汚れた身体で湯船に浸かってはいけないという考えで、後者は身体を温めて汗腺を開かないと汚れが落ちないという考えのようである。どちらも一理あるが、不特定多数が入浴する温泉では、前者の方が公衆衛生の面から多少有利ではなかろうか。
両方の考えを、ともに採用するとすれば、大量に流れるお湯(温泉でなくても良い)の入った、「ぬくもり湯」とでもいうものを設ければいいと思うのだが、お目にかかったことがない。
ほとんどの温泉施設では、入り口に「身体を洗ってお入りください」と書いてあるが、これはAの方法を推奨しているのだろうか。最近では「かかり湯」といって、入り口近くで体にかけるための湯だめを設けている施設も多くなってきたが、これはBの方法を補完するものだと思われる。しかし、A派から見ると中途半端だろう。体はあまりぬくもらない。
だいたいが、私は長湯は苦手である。家でもせいぜい十分程度。家内からは、「本当に洗っているの?」と疑われる。育った境遇によっても違ってくる。私の母親は、「汚れはとって食いやせん。」と言っていた。これも母の父親からの伝授だそうだ。そういうことで、冬場だと入浴は2~3日に一回で過ごしてきた。
さすがに夏場は黙っていても汗をかくので、毎日のように入浴するが、面倒なときはシャワーだけで済ます。しかも私は、あまり長く湯船に浸かっていると呼吸困難になるのだ。
家の湯船では5分ともたない。大きな温泉施設であれば、いくつかの湯船をはしごすれば、時間は稼げるが、せいぜい「湯船の数×5分」程度が限界だ。1時間も巡っていれば飽きてくる。高価な入浴料は非常にもったいない。
ところが家内の実家では、一年365日欠かさず入浴するのである。下手をすると1日に三回湯浴みをすることもある。したがって、女性優位の我が家の子供たちは、自然と毎日入浴する習慣となる。酔っ払って帰ったときなどは、着替えもそこそこに床に付きたいものだが、そういうときこそ「汚れている!!」と言われて、入浴を強制される。せっかくの酔いが醒めてしまう。
風呂から上がったら、ビールでも飲みなおし、飲みなおし。
温泉好きの友人がいたが、何と3時間は平気で入っていると言う。勿論ずっと湯船に浸かっている訳ではないだろうが、私などはそんなにどうやって時間をつぶすのだろうかと困惑してしまう。残念ながら女性なので、実態を観察することもできない。大体が女性は、体のケアの時間が長いのだろう。顔・髪の毛・体を洗うだけでも30分程度は使う。私なら1分で洗ってみせる。
温泉の上り口には、「身体をよくふいてお上がりください」とよく書いてあるが、どこで身体を拭くのが正しいのかいつも迷う。お風呂場の出口側で拭くと、すぐに体が湿る。お風呂場の出口を出たばかりの脱衣場側で拭くと、通行人の邪魔である。ロッカーの前まで行くと、途中の床が濡れる。出口とロッカーの間に、多少大きな体拭きスペースがあるとよいと思うのだが、これもあまりお目にかかったことがない。(扇風機があるとなおよい)
身体を拭くためのバスタオルは、どこに置いておけばいいのだろうか。着替えとかを入れておくロッカーは、浴室の出口からは少し離れているのがフツー。必然的に濡れたままロッカーまで行くので、途中の床を濡らす事になる。浴室の出口付近でバスタオルを供給して、使い捨てにできるのが良いと思う。
温泉に行って、よく困ることは、濡れたタオル等を入れるビニール袋をもって行くのを忘れる事である。サービスで、脱衣場にビニール袋を置いておくと、非常に助かると思うのだが、お目にかかったことがない。
まあ、色々とごねてみたが、ああだこうだと思案しながら、理想の温泉施設を求めて、今日も風呂巡りを楽しむ。
2003年8月31日 自宅にて