トラウマ治療のその後①現在の診断名
前回の記事でようやく、トラウマ治療をしてくれる臨床心理士を探した話について書きました。
本当はこのまま、いよいよ心理士との社会面接につながる話を書く予定でいました。
ただトラウマ治療をめぐる、当事者のなかの空気に不安を覚え、ちょっと違うことを書くことにしました。
(私もトラウマ治療のことを書き始めた人間ですが)最近ネット上で、トラウマ治療の効果を強く書き過ぎている方がいるのでは?と感じて、心配になっています。
トラウマ治療を多くの方が受けられるようになってほしいという気持ちは私も同じです。
でも、あれでは「トラウマ治療を受ければ、すべての不調がなくなる」と信じ込んで治療を受けてしまい、そうはならずにガッカリする方が出るのではないか。下手をしたら、治療への信頼を損なうことになるのではないか。
ちょっと危惧しています…。
それなら私も、良くなった部分、今でも不調が残る部分を一度書いておいたほうが良いのではないか。そのほうが、noteを読んでくださる方に対しても誠実なのではないかと考えました。
(ただし、これはあくまで私の場合です。)
というわけで、今日の本題です。
1.私の現在の診断名
私がトラウマ治療を受けるときにイメージしていたのは、
「精神科の薬はまったくいらなくなり、精神科や心療内科との付き合いも完全になくなり、いつも絶好調に動き回れる」ようになることでした。
実際はそうはならず、私は今も精神科の薬を飲んでいます。心身の状態は改善しましたが「完治」はしてないんですよね…。
こういう人間もいることは、書いておいた方がいいのかなと思います。
では、今の私はどんな状態なのかというと…。
1-1.双極性障害と診断がついたときのこと…
さて、私の現在の診断名は「双極性障害II型」(昔でいう「躁うつ病」)です。
(II型は、躁状態が目立たないそうです。主治医の所見によると、私の場合は反復性うつ病に近いらしい)です。
この診断名に辿り着いたのは、トラウマ治療時の医師…ではなく、産後たどりついた地元の精神科医でした。
私は出産前の入院時から(諸事情で)精神的にボロボロになっており、病院に常駐していた精神科医から、
「あなたは退院したら、ここに行くといいよ」
と紹介状を書いてもらいました。
トラウマ治療時の主治医のところに産後通うのは物理的に不可能だったのもあり、私は紹介されたクリニックに通うことにしました。これが現在の主治医です。
(臨床心理士の先生と連携してくださっていた関係もあり、心理療法と並行して遠方まで通っていました)
主治医の普段の診察は、3〜5分くらいです(笑)
ただ初診はしっかり時間を取る人で、私の場合は2時間くらい掛けて、生育歴などを聞き取ってもらいました。そうして付いた診断名が双極性障害だったというわけです。
双極性障害と診断されたとき、私はショックを受けました。
双極性障害って、一生薬を飲まないといけない病気だよね。突拍子もない行動をする人が多い病気だよね。私は「完治」できないのかという絶望もありました。
私の親の代では、北杜夫という双極性障害の作家さんが人気でして…あの方の躁状態のときのやらかしのイメージが私の中では強かったです。
母の世代は北杜夫のイメージが強いから、
「母にバレたら、ちくわが病気で頭がおかしいから攻撃的なのよ!とか鬼の首取ったように責め立ててくるだろうな」とかね。
本当は、母が夫にも私の悪口を吹き込むから、自分の人生守るためにやむを得ずなんだけどね…。
1-2.正確な診断と薬の処方の大切さを痛感
と、あらゆることが頭の中で駆け巡った私…。
でも今の主治医の薬の処方はバッチリでした。
一般的なうつ病と双極性障害とでは、不具合が起きているところが違います。
今の主治医の説明によると、一般的なうつ病は「(人が動くための、いわば)発電機の故障」、双極性障害は「発電機のスイッチが不安定になっている状態」に例えられるそうです。
対策(処方される薬)が違ってくるのは当然で、ここの診断が違えば症状が改善しないのも、そうだろうなと…。
薬を飲み始めて1週間くらいしたころ、頭の中がハッキリしてきたのを感じました。
トラウマ治療で改善してきていたものの、今までよくこれでやってきたなと。妊娠前は短時間とはいえ仕事をしていたときもあったので、尚更そう思いました。
ああ、やっぱり私は病気だったんだと納得できました。そして、完全に治すことに拘らずに、「病気(そうなってしまった体質)と、ほどほど付き合う」生き方もありだなあと力が抜けました。
主治医が授乳に問題がないように、薬を調整してくれていたのとありがたかったです。
そして「双極性障害の診断をもとに処方された薬で楽になるということは、やっぱり私は双極性障害なんだろうな」と(色々な偏見を飛び越えつつ)、じわじわ納得していきました。
そして今に至るまで数年間、私は「メンタルの問題で、全く動けなくなる」ということもなく過ごしています。健康体とはちがうんだろうなと感じることもありますが、付き合える範囲かなという程度です。
そしてTwitter上で出会う、宗教2世や虐待サバイバーにも双極性障害2型の方が多くて、すごく驚いている今日この頃でした。
※トラウマ治療中に検討されていた薬のこと…
ただこれはトラウマ治療時の主治医に問題があるとは限らなくて…。トラウマ治療中は妊活していたので、飲める薬が限られていたという事情もありました。
トラウマ治療を受けていた当時、炭酸リチウムという薬が検討されていたときもありました。妊活中のため処方はしないと、当時の主治医が判断した薬です…。
今調べたら躁状態に使う薬だそうで、どちらの先生も見立ては同じだったのかなと考えています。
(あくまで素人の感想です…)
1-3.それで…、トラウマ治療は何の意味があったの!?
ここまで書くと、
「結局ちくわの体調が改善する決定打は、双極性障害の診断ってことだよね?トラウマ治療受ける意味はあったの!?」
という話になりそうです。
長くなってしまったので、次の記事以降では、
・トラウマ治療で何が改善したのか
・今も残る不調とは何か
ということを書いていきます。
トラウマ治療については、一言でいうと「日々の消費エネルギーが減った」ということでしょうか。トラウマに心身が支配された状態だと、身体が臨戦体制になっているからメチャクチャ疲れるんですよね…。
抜け出してみて、実感しています…。
具体的な話は…なるべく早く更新しますね。お付き合いいただけると嬉しいです。
※シリーズ続きのnoteは、こちらです。