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女(34歳子持ち)ようやく「お金」への呪いを投げ捨てる。

煮詰まったらカバンにタブレットとスマホを詰め込んで、近所のスタバへ出かける。飲み物を頼んで、Wi-Fiを接続して、タブレットと向き合うと「…よし」スイッチが入る。

ーー

「お茶なんか家でも飲めるのに。あんたはほんまに無駄遣いや」

昔から母によく言われて、いつの間にか外でお茶をすること=ダメなこと、になっていた。金銭的に苦しかった実家を、あの手この手で苦労して立て直したのは嫁である母で、昔はわたしのお金の使い方ひとつひとつにダメ出しばかりしていた。

母としては「金銭的にきっちりとした」「堅実な」「苦労しない」子供にしたかったそうだが、結果的に生まれてきたのは、カフェでのお茶や舞台、本など「金にならねえ」ことばかりにお金を使う娘。

今でこそ母も丸くなり、わたしが週に何度かスタバへこもっていても何も言わなくなった。「あんたとわたしでは優先順位が違うんだもんね」

ーー

お金の価値は変わらない。

財布に入っている500円でスタバのカプチーノを買おうが、役立ちそうな新書を買おうが「500円は500円」だ。それを、あれに使うのはダメ、これなら良い…そんな風に○×をつけるから、お金に対する罪悪感が育つ。

わたしはすっかり、お茶=ダメなこととインプットされたものの、心から好きなことには変わりない。だから、「ほんまはこんなことに使っちゃダメだけど…」と思いながらお茶をしにカフェに入るという図式が出来上がってしまった。

これではせっかくの大好きな時間が、罪の時間になってしまう。

長年そんな風で、いくらフルタイムで安定した収入があろうとも、いつもどこか「お金を使うこと全般」に罪悪感があった。

使っちゃダメ、使っちゃダメ…毎日そう思いながら使うとどうなるか。なぜか散財してしまったりする。

「ダメと言われることほどしたくなる」心理学でいう、カリギュラ効果的な?

無駄遣いはやめなさい!!
お金は大切に使いなさい!
意味のある使い方をしなさい!!
お金を無駄にすると大変なことになるよ!!

たくさん言われてきた言葉たち。良かれと言い続けた母には残念でした~と伝えたい。だって、その言葉で娘は堅実な人生を歩むどころか、ずっと不安定まっしぐらだ。

ーー

否定や禁止に潜むもの。

例えば親が子供に「ダメ」と言い続けていることは、きっと親自身の恐れであったり恐怖の裏返しなんだろう。

母は母が持ち続けていた「お金がなくなることへの恐怖」「お金に苦労するという思い込み」を、へらへらと好きなことに散財する娘に重ねて怒りを爆発させていた。

あれ?じゃあわたしはとっても親孝行だったんだな。

「おかんよ、こんな風にお金を使ってもよいのだぞ」
「無意味でも好きなことに使ってよいのだぞ」

それを見せ続けていたってことだ。

ということは、わたしもそろそろ親から言われた呪いは投げ捨てて、自分の価値観を「お金」に付け替えていいってことだ。

ずっと握りしめていたお金への罪悪感。本当に重たかった。お金=苦労という図式しかなくって、安定した家計の時もいつも苦しかった。

その背景には、「この使い方はお母さんに叱られないか」「こんな使い方をしたらまた怒られる」そんな母の目に怯える自分がいた。

母の目を通した自分で自分を監視して。お金が流れないように、逃げていかないように。

ああ、しんど!!
もうそういうのいいや…近所のスタバで唐突に感じたのだった。

やっぱりスタバ最高。わたしの人生の中で、カフェタイムは最優先事項に近いのだ。人から無駄だと言われようが、ずっと大切にする。


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イトウ カヌレ
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