大学院生がipad proを買った話 追記
前回こちらの記事においてipad proを導入してみた話を書いた
この記事を書いて大体一週間が経過してこの子を使い始めてからおおよそ二週間が経過してさらに気づいた点、加えて最近出たMagic keyboardを見ていて(あくまで買ったのではなくて見た感想であることに注意)思ったことについて書いていく。
先に気づいた点を述べていく
・face idが思ったよりネックになる
・11インチは意外と中途半端なサイズである
・ぶっちゃけソフトウェアキーボード打ちやすい
・当然これはPCではない
これらに理由を付けて書いていく。当初は短く済むと思ったが思ったより長く書いてしまった。悪い癖が出てしまっている。
気づいた点1 face idが思ったよりネックになる
ipad proの目玉?昨日の一つであるface idだが、これが意外とネックだ。
普通に使っている分にはそこまで問題にならないし、むしろ開けるまでの動作が非常にシームレスで快適、アプリを購入したりするときの認証やTwitterの認証もface idと連携させることができるため、入力やタッチをする必要なくすぐに作業を開始できる。
ではネックとは何か?当然首のことでもギターの指板部分の話でもない
単純明快、face idを遣えない場合は少し面倒なパス入力をしなければならないのである。
Face idはあまりに角度がついたときや、顔の調子がよろしくないとき、例えば二日酔いで顔がパンパンの時に眼鏡をはずしているといつもより反応が鈍かったり、いつもなら開けてくれる角度で開けてくれなくなるといった事態が発生する。
そしてこのご時世、マスクによって顔認証は通らないのでバイト先(筆者はコンビニバイトをしながら学生をしている)で休憩中に論文を読もうと開くと結局パス入力をするかマスクをずらすといった工夫がいる。
もちろん暗い部屋の中でもface idは使えない。せっかくなら指紋認証もつけてくれてもよかったのにとか思ってしまうが、これが使えないタイミングではそもそもipad を使うべきではないといわれるとそれまでの様な気はしてしまう。appleらしい人間がハードウェアに合わせろよな!って感じの仕様だ。
気づいた点2 11インチは意外と中途半端なサイズ
ipad proは、それまでのタブレット端末と異なり、複数のタスクを同時にこなすことができるのが魅力の一つである。もちろんこれはプロセッサとメモリの余裕からなせる業ではあるのだが、マルチタスクをするにはどうしても画面サイズが必要である。
最初の一週間は割とこのサイズでも問題ないと感じていたが、最近はもう少し大きければなぁ…と思う場面が増えた。
具体的には縦向きで複数のpdfを眺めたり、ノートを出す分には問題なかったが、直接何らかのサイトを閲覧しながらノートを書いたりするときには少し手狭だなぁと感じる。横向きにすればある程度解決するが、今度はノートを書くスペースが限られてくる。結局ある程度は紙とペンに書くという作業をせざるを得ないと感じる。特に大規模な手計算では鳥瞰が必要だったりするので少し手書きとは異なる感触のapple pencilでは力不足かもしれない。
試しにイラストも描いてみたが、Clipstudioがヌルサク動くのは良いけれど、お見本を別ウインドウで出すとかそういう練習には少し画面サイズが足りない。
しかし、特定の場面では少し大きいと感じてしまう。横になって動画を見たりする場合だ。うつぶせになってみる分には問題ないが、首と肩にめちゃくちゃ負担がかかるのであおむけだったり横向きになる必要が出てくる。しかしこれが難儀で、この用途で使うにはでかい。スマホが優秀なデバイスであることを実感させられてしまった。ゲームなんかも寝ながらやるには少し大きい。
ただ、「持ち運びしやすい」「テーブルの上において邪魔にならない」の要件を満たす最大のサイズがここであるような気もするので頻繁に持ち運ぶ予定がある人そうでなくとも、ipadと一緒に何か物理的な本やノートを机の上に広げる用途を検討している人は11インチ、もう家でこれ単体でめっちゃ作業するぜ!!と息巻いていたり、持ち運ぶにしてもこれ以外のものを一切持ち運ばないようにしたいって考えの人は12.9インチをおすすめする。
気づいた点3 ソフトウェアキーボード打ちやすい
題の通りで、この本体に付属するソフトウェアキーボードは割と打ちやすい。記号をフリックに割り当てているため実際の物理キーボードより若干キーのサイズが大きく、きちんと打った時に反応が返ってくる上レスポンスが優秀なのでそこまで不自由なく文字を入力することが可能である。
具体的にはこの文書を書ける程度には不自由がない。物理キーボードと少しポジションは変わるが、大体同じポジションでで打つことができる。
簡単な日本語入力や英語入力の範囲であれば2万円払って中途半端なsmart keyboard folio(キーボード付きカバー)を購入するよりは、smart folio(純正だと9300円くらいする)やそれに準じたサードパーティ製のカバー(2千円くらいからある)を付けて、画面を横向きに浅く傾けてソフトウェアキーボードで打つだけで事足りると感じた。まぁ純正のキーボード付きカバーはかっこいいし、二段階の横向き角度調整があるのはうれしい点かもしれない。ただ、そのためだけにあの中途半端な打ち心地のケースを買ってしまうのはいかがなものかと思ってしまう。僕はapple信者ではないのでセットアップとしての美しさよりは実用性とコスパを考えたい。
新しい選択肢として登場したipad用magic keyboardだが、さまざまなレビューで見られる通り、滅茶苦茶重いらしい(11インチ用で600gを超える)。
ipadを安定して支えるためには必要な重量かと思われるが……
滅茶苦茶重い上にタブレットとして使用するには分離が必須、分離したらしたでカバーを付けないと心配になるだろうから利便性を考えるとマグネットで着脱できる純正のカバーを買っておく必要があって……ともろもろ考えるとなんやかんやでmagic keyboardのために5万近い出費を強いられる。本体価格と合わせてmac book Airの最安値構成に迫ってしまうし、それならmac OSを見限ってsurfaceにするかmac book Airで良くね?となってしまいそうなものである。
この辺りをもろもろ考えれば、文字を大量に打つ予定のある人は良い感じのBluetooth Keyboardを買うか、そもそもPCと完全分業するか(それならたぶんipad proである必要はなく、廉価版で良い)よく考えた方が良いだろう。
ちなみにキーボード単体の価格で言えば、静電容量無接点方式を採用した最高級キーボードであり長年のブランド力を誇るHHKBの無線対応型が大体3万円、それに追従せんと中国のメーカーNiZが出している同じく静電容量無接点方式の高級キーボードが2万円、Filcoの高級メカニカルキーボードが1万円である。トラックパッドは1万円強で買える。
気づいた点4 単体でPCとして完結はしない。
僕は最初のレビューでデスクトップをリモートしたり、ターミナルにアクセスしてそこから端末をいじってプログラミングをするなどしているといった内容のことを述べた。
これは問題なくできるのだが、ここまでできると、このタブレット単体である程度PCとしての役割を全うできるのでは?と考えてしまいそうだ。
実際Magic Keyboardのどや顔感がそれを助長する。
しかし残念ながら所詮はiOSなので完全にPCとして成立することはない。
専門的なアレやソフトの問題は当然発生する事だし、そこまでの行為を一般の人がするとは思えない(というかそういうことしたい人は別に端末を持っていると思う)ので特に述べないが、問題があるのはブラウザで動くゲームやらなにやらがたまに動かなかったり、動作や表示がおかしくなる場合がある点だ。当然だし仕方のないことではあるが、これで万が一就活でウェブテストを受けなきゃいけないけれど、旧態然としたウェブテストでipadでは動か無い…といったときにこれしか端末がない場合。それだけのために学校の端末を借りに行ったり、友人の端末でやらせてもらったりする必要が出る可能性まである。
普通の大学生がPCで本来やる作業、ワードでレポートを書いてエクセルで実験データをまとめてパワポでプレゼンを作って…といった作業にはおそらく問題がないのだが、家に一個もPCがないような人間がipad proと周辺機器だけ買っても作業内容によっては詰む可能性があることだけ理解してもらえれば問題ない。
ipad proはめちゃくちゃいいデバイスだと感じているし、現状めちゃくちゃ重宝しているが、思うところが色々出てきたので書いていった。
総じて、ipad proは万能パッケージではなく様々なコンポーネントをもって自分のスタイルに合った形にカスタマイズするデバイスという風に解釈することも可能だと思う。ガンダムで言うところのコアファイターである。
apple商品なのでそれぞれのコンポーネントの価格がだいぶ挑戦的だし、信者は大体純正品をおすすめしてくる上セットアップでもスマートさみたいなのを重視しているので、とりあえず自分の好みの形に最小の値段でたどり着けばいいという人は参考にしすぎない方がいいだろう。