大工の労働大苦労、どう?
こんばんは、魚亭ペン太でございます。今日は作り話で持ってあっと言わせようと思うのですが、数撃ちゃ当たるで投稿していきます。一席お付き合いくださいませ。
さて、子は鎹といいますが、鎹(かすがい)とはコの字の釘のことで木材と木材、ときには夫婦間を繋ぎ止めます。しかしまぁ、どこの家庭にも問題はあって、一国の命運すら左右するお金、石や録がないともなれば、長屋の中は大騒ぎにもなる。
「もうちょっとしっかりしておくれよ」と女房がさらに釘を刺さす。
打ち方が下手なのでどうにも旦那の心には響かず、何度も打ち込むもんだからこうして四方八方穴だらけ「こいつはもうあカンナ」と逃げ出す八五郎の旦那。
釘抜きならぬ息抜きをしようとカケヤ、ノミに行きたいが、元手がなければそれもできない。
これでも川の字に休むようになったのだから一人前のはずだが、どうにも金槌だからか世の中をうまく渡れない。
副業に天秤棒担いで秤売りとはいっても大した稼ぎにもならず、キリがないからとついには盗みヤスリの類にまで手をかける。
やっぱり悪事は足がつくもの。八五郎捉えられ奉行所に呼び出される。のこのこ義理人情を求めて女房に助けを求めるわけにもいかない。
「頭や顔はわるいですが、旦那はわるくありません」
そこに現れたのは一緒に罪を被るという妻、腕には我が子。これは誰かのさしがねだと泣き崩れて終いにはえずいた。
これにはお代官様も驚いたが、あまりに女房が美人なので疑わしく思い、玄翁を持寄らせ狐の石像を割ってみせた。これには女房驚いて化けの皮が剥がれて、狐の親子がコンコン逃げんのうなんの。
これには八五郎の旦那も驚いた。まさか狐と所帯を持つとは。狐と結コン。これでは今までの苦労が報われない。コンなはずじゃなかった。
「狐に化かされたとなれば、その罪を許してやろう」
寛大なお代官さま、あまりにコクだからと一石ばかり貸してやろうと提案する。
そのお言葉に泣く八五郎だが、借りるともなれば返さなくちゃぁならない。
「お代官さま、ありがたく存じます。しかしながら、返すアテがない以上、それは殺生石でございます」
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