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食い違う会話

私は時々会話の話題が飛ぶ。

というのは、なんとなく思考の順番がおかしくなる。脈絡がないと言えばそうだし、発想力が豊かだというとものすごくポジティブになる。

そのため、唐突に話していることのゴールが見えなくなる。

話し始めの勢いは消え、徐々にその足取りがゆっくりになる。

そして、迷子の子供のように辺りを見渡す。

誰もいない。

だから会話をするたびに隣に人がいるかどうか不安になるし、手を繋いでいたくなる。

その点で言えば割と感性の合う人もいるので、単純に相性なのかもしれない。という妥協。

とはいえ、犬や猫に対して接し方を変えれば懐いてくれるように、人間も接し方一つで大きく変わるのではないかと思う。

私の知り合いに、渡り鳥のように唐突に連絡の取れなくなる人がいる。

私だけじゃなく、私と彼の共通のコミュニティですらだ。

どことなくペンギンが餌を求めて遠泳をするのに似ていて私は彼のことが好きだ。

とはいえ彼はどこかの空に旅立ってしまっている。

私は彼が聖人ではないことは知っていて、人間らしい感情の数々を押し殺しているのを知っている。

だが、彼はそれを人に語ろうとは思わない。

彼の美学がそうさせている。

だからなのか、彼の歌には意味がある。

時折彼は理解をされない。

そのことに彼は諦めていて、それが彼を渡り鳥にさせている。

他人行儀だが、私は彼が再びこの木に止まってくれることを願っている。

それは季節の変わり目であり、生命の誕生であり、なにより私自身の喜びなのだ。

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魚亭ペン太(そのうち公開)
美味しいご飯を食べます。