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短編『何も気にならなくなる薬』その286
タイトル「人の目」
車の運転席、普段は気にも掛けないが、どんな過ごし方をしているのか観察をしてみるとその一瞬というものは面白い。
真面目に運転している人もいれば、中には熱唱をする人、助手席の恋人といちゃつく人、何かを食べながら、タバコを吸いながら運転する人。
いろいろな人がいる。
本当なら真っ当に運転するべきものであるのだが、人間の慣れというものはどうしてもこうしたプラスαを付け足してしまう。電話をしながら、スマホで調べ物をしながら……
ドライブレコーダーの存在が確かな証拠にはなるが、つけたところとてその人の自覚がなければやはり事故は避けられない。
救急車のサイレン、電信柱に激突し煙をあげる車、騒ぎを聞きつけた野次馬、そしてマスコミ気取りのライブ配信。
誰しもがカメラを向けてその様子を収めている。誰も彼の心配などしていない。
他人の不幸せを蜜の味だと知って、動画に収める。
運転手がなぜ事故を起こしたのか、そんなことは些末なことだ。誰が彼の命を気にするだろう。まるでそれは映画の中のワンシーンだとでも思っているのだろうか。
誰も真実を知ろうとしない。
あのカメラの持ち主がその原因だったとしてもだ。
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