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短編『何も気にならなくなる薬』その295

スマホゲームはほどほどにとわかってはいるのだが、どうにも手を出してしまう。
とりわけ「ポケモンカード」のアプリはリリースされたばかりでまだ遊べるから仕方ない。
この手のゲームは新しい要素が増えるにつれてパワーバランスが崩れていって、特定のカードを持っていないプレイヤーは圧倒的に不利になる。
所詮ゲームといえど、ゲームだからこそプレイヤーは勝ちたい。
公平性の弱い負けが既に見えているゲームに人は集まらない。

「つよい ポケモン

よわい ポケモン

そんなの ひとの かって

ほんとうに つよい トレーナーなら

すきな ポケモンで

かてるように がんばるべき」

ポケモンに出てくるキャラクター四天王のカリンの名言。

たぶんこの言葉がポケモンというゲームの楽しみ方は幅広いのだと示唆しているように思える。
ゲームシステム的には弱いけどデザインや設定で人気のあるポケモン、このポケモンをどうやって活躍させるかその作戦を考えるだけでもポケモンというゲームの面白さがある。
好きなポケモンを並べたら全員弱点が一緒だったりする。
でもなんとかしてみたくなる。
しかし勝ちたい気持ちも捨てられない。

もしも野球チームを好きに組み立てていいのなら皆が大谷選手をスタメンに入れるだろう。
彼は一人しかいないので取り合いになってしまうが、ポケモンはその点の心配がないので完全に自由だ。

でも、もし大谷選手が自分と戦う(ちょっとファンタジーだが)ことができるのなら結果はどうなるのだろう?
自分の考えやクセがわかるからこそ安易に投げられないだろうし、安易にバットを振ることも難しいのではないか。

[この行動で相手はどう考えるか]

カードゲームだけでなく人生にも必勝法だのセオリーだのが生まれがちだが、こうした物差しから外れて面白いことをしている人がいるのだから絶対はないのだなと思わせられる。

外部からの心無い意見に流されず、自分のやりたいことを貫けたら一体どんな景色が見えるのだろう。

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魚亭ペン太(そのうち公開)
美味しいご飯を食べます。