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メモ帳供養その十二「夢の中」
こんにちは、魚亭ペン太ございます。
さて、メモ帳供養も二桁台に突入しました。改めてうだうだと過ごしてきた自分の過去と向き合うような、そんな心持ちです。なんともまぁ「メモ帳供養」身勝手な企画ではありますが、引き続きお付き合いいただけたらと思います。
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「おはよう」
「何を言ってるんだ」
私のこの疑問はなんらおかしくない正当なものだ。その証拠に僕はついさっき眠りについたばかりじゃなかったか。
思ったことが言葉になっていたのか筒抜けなのか、声の主はそれもそうかという顔をしたかとおもえば、いぶかしげな表情も見せる。
なんとも無神経な奴だ。もちろんこれも伝わる。
「ごめんなさい、貴方にとってはそうよね。でも、どうしてもお話がしたくて」
これが女性だったなら、すぐに立ち去るなり追い返すなりしていた。しかし、相手がこうも幼いとなると、それを理由に突き返すのは大人気ないなと思えてくる。
「寝ている人を起こしてまで伝えたいことって、余程のことなんだろうね」
考えることはせず、素直に話をしてみる。
「それはその……」
勿体ぶっていることから大したことではなさそうだった。
「そんなことはないわ。だって貴方と私がこんな形で会えるのは、きっと、このときだけだから」
その表情は嘘をついてなかった。ただ、だからといって。
「どうして僕の考えていることが君に筒抜けなんだ。あまりいい気はしないな」
「ごめんなさい、気を付けるわ」
何をどう気を付ければそうなるのか。そもそも心の内を読み取る仕組みが理解できない。理解できないものは恐ろしい。
とはいえ、それから考えていることに対しては何ら反応を見せなくなった。本当に聞こえなくなったのか、単に思考と声を分別して聞こえていないフリをしているのか。
これだけ疑いの念を抱いても、会話に間が空いたことに対して小首を傾げるだけだった。それに関して疑うのはもうよそう。
「それで、君は誰なの」
「わたしは……いえ、そんなことより、一緒に散歩でもしませんか」
「散歩?」
唐突に散歩ができるような場所はどこだろうかと頭に情景が浮かんでくる。すると近所の遊歩道に場所が移った。なんだかよく知っているようなところだったが全体的にぼんやりしている。
それほど簡単に立ち寄れる場所でもないはずなのだが、場所が移ることでさっきまでいた場所がどこだったのかがはっきりしなくなる。それにしたって、会話をする上で名前がどうでもいいなんてことがあるだろうか。
「ここはどこなんだい」
「自分がいるところは、自分が一番わかると思うのだけれど」
遊歩道を駆けていき振り返った少女の顔をはっきりみたいと思ったのが何かの間違いだった。薄暗い寝室にいたはずだったと思い出し、今まで気にもかけなかった数々のことを確認しようとする。すると急に体に力が入って、考えれば考えるほどに意識がその方向とは別の方向へ。
確かにはっきりと向かっていくのがわかった。だからといって、その反対側に意識をやればいいというわけでもなく、抗えば抗うほど意識ははっきりと遠退いていく。
ジリリリリリリリ。
以前、恋人からプレゼントにもらったRAIDENの目覚まし時計が喧しく鳴り響く。そこへ反射的に手を被せ、その背後にある電源を切って黙らせる。
彼女との間にこれよりもうるさい蟠りがあったとはいえ、この目覚ましには何の罪もない。ましてや、こうして朝早くに起こしてくれるのだから、手放す理由もないのだとして、こうして使い続けている。たぶん、これを未練というのだ。
「朝か」
思ったよりも早く目覚めたと思うのは気のせいで、単に眠りが浅かったのだと心身の気だるさが教えてくれる。
「だるいな」
とはいえ起き上がる体は至って健康で、病欠とはかけ離れていて、何一つ不自由なくインスタントコーヒーを淹れている。
はっきりと目が覚めるのは飲んでから三十分後だというのに、一口目で目が覚めた。思い込みというのは人間にとって長短になるのだと改めて思う。
「思い出したくもないのにな」
嫌なことほど、何気ない出来事がきっかけで意識を支配してしまう。この習慣が彼女の表情を思い起こさせる。
一方的に物を言われる筋合いはない。そもそもありもしないことで勝手にヒステリーを起こされるのはどうなのか。考えるだけ無駄なことを悠長に考えている時間もなくなってきていたので、スーツに着替えていつもの通勤ルートへ向かっていく。
「まもなくドアが閉まります」
いつもとなんら変わりのない日常のなかで、ちょっとした出来事が嬉しいことになる。そう、珍しく電車の中で座ることができたのだった。
普段は座ることもないので、どこか手元が暇をもて余してしまう。普段は手摺を握ることと余計なことに巻き込まれないようにと神経を使っているというのに、座っているというだけでこんなにも気が楽になるものなのかと、左右の人たちとこの感情を共有したい反面、立っている人たちの顔を見ることはできない複雑な心境になっている。
「ドアが閉まります、ご乗車の方は奥にお願いします」
自分が離れた席を奪い合う人達のやり取りを背中に、一足先に電車から降りた。自分よりもあの空間にいることを不憫に思ってしまうのは、座れたという出来事がなければ感じることもなかったのだろう。
「あの人です」
視界の端に見えた駅員と何かを訴えている女性の組み合わせ、またどこかで厄介なことが起きている。
「ちょっと君」
かわいそうな話だ。
「いや、だから君だよ君」
顔の前で手を振られたとき、これはもう本当に可哀想だなと思った。
「それで、この人が」
「はい」
「私、見たんです」
はい、はい、それで、もうこれはダメな流れだな。
「えー、では警察に連絡を」
「ちょっと先輩すいません」
「あー、今取り込み中なんだけれど、どうした?」
「ちょうどあの件でグループの顔が割れたみたいで」
さっきまで自分のことを盗撮犯だと捲し立てていた女性の表情が変わったのは、確かに間違いなかった。
最近では痴漢や盗撮などのこういったトラブルは、全てのやり取りが記録されることになっている。冤罪を回避するための材料にするためだそうだ。このやり取りの全てを複数の専門家が分析して審議を決めることになっているのだとか、だからといって冤罪が完全に0になるわけではない。
「とにかく追って連絡をいれます。その際は速やかに指示に従ってください」
ふざけた話だ。
「それで遅れたと……災難だったな。それはそうと今日は席替えだ」
同期で上司の村上は自分のあれを汲んでくれてなのか、周りに女性がいない席替えを行ってくれた。表向きは業務の円滑化とのことで。
本当にありがたい限りだった。
「しかし、本当に災難だな、男性専用車両か、なんなら近くに越してきた方がいいかもしれないな」
どこまでが冗談か。おそらくは殆どが本音だ。わざわざ席を変えてくれるくらいなのだから。周囲には気を使わせてしまっているとはいえ、あの一件は私のあり方を変えてしまった。
「それじゃあ、外回りよろしく」
そのかわり、仕事の厄介事は引き受けることになっていた気がする。先方へ謝りにいくといった普通なら誰もいきたがらない仕事を割り振られる。
それを周りは村上と私の仲だからできる芸当だとか、私がゴマスリの上手な人間だとでも思っているに違いない。いや、現にそんな声が聞こえている。だからといって気にかけるほどのことでもない。
そのくせ、飲みの席に参加をしないのだから、自分はよっぽど変わり者だと思われているに違いない。
「また君か、他の人間は謝りに来ないのか」
不祥事と言えばこの男。取引先も長いことの付き合いで、向こうからすれば多少の出来事なら取引をやめるとは言えない関係だけに、自分の顔に暴言を吐いてストレスを解消してもらうのが仕事のようなものになっている。
それがいつからか呆れか同情か、もうそんなことも言う必要がないくらいにお互いの顔はいやというほど見ている。
「まあ、いいや、とりあえずそのお茶菓子を貰おうか」
詫びというよりか、親戚の家に挨拶がてらに持ってきたかのような扱いをされるお茶菓子は、不幸中の幸い、むしろそれを楽しみにして、嫌なことは忘れようという感じになっていた。
「それで、今回はどうするつもりで」
「ええ、こちらとしても開き直るという風には捉えられたくはないのですが」
失態をバネにして大きくリターンに持ってくる。これだけ聞くと美味しい話だと言われるかもしれないが、この手の話では今までに失敗はない。
「なるほど、たしかにおいしいな」
甘味が喉を通り、飲み込んだのを確認し、お茶会を終えた。
「頼むよ」
そうして、会社に戻ることになる。
こうしたリカバリー的な役割には定評があって、ある意味これがなければ、会社からは評価されないのではないだろうかと思えてしまうときがある。職業は何をと聞かれれば、失敗を取り戻すことだとでも冗談で言えそうな程だ。
だが、仕事が出来るからといって私生活が円満とは限らない。自分の失態は自分ではどうにもできなかった。そもそもありもしない失態をどうこう出来るものじゃない。
「お疲れさまです。今回の件、本当に申し訳ありませんでした。ありがとうございます」
「あぁ」
正直、女性の職員がいない仕事にしたい。
彼女たちには何にも罪はないにしても、それを一括りにして考えてしまう自分がいる。
彼女らは感情や本能で物事を言う。そんな風に思えてしまう。ある意味で、信用できないのだ。
だからといって男性に絶対的信頼をおいているわけでもない。
「ばか、あの人は女嫌いなのよ。いきなりあんな風にあやまるのはないでしょう」
詳しく知らない新入りが先輩に叱られているのを横目に、席へと戻る。
「ほら、コーヒー、お前くらいだよ、上司にコーヒー持ってこさせるのは」
「いや、申し訳ない」
「むしろ尻拭いをさせてるからな、これくらいさせてくれ。でどうだ、飲みにいくか」
「いや、わるいけど」
「そうか、わかったよ」
会社での飲み会だそうだ。申し訳ないがその気にはなれない。
「気が変わったらこいよな」
そんなことはないだろうけどと笑いながら言われるのは、ある意味救いだった。来ないとわかっていながらも、表向きは声をかけてくれる。そんな優しい奴だ。
「じゃあ、お疲れ様」
先に上がらせてもらい、駅に向かう。
今朝のことを考えると、やはり引っ越すべきなのだと思えてくる。そうして寄り道がてら不動産屋の前を通り、近場で安い所はないか店先に貼り付けられた物件を物色していく。
「お兄さん、なんだかわけありっぽいけど、こっちにもぴったりなわけありあるよ」
表に出てきた初老の男性は見透かしたような目で微笑んだ。そんな相手だ、話を聞いていかないのはどこか勿体ない。
「ほら、うちのすぐ後ろ、入り口が狭いし、なにより周りに建物が出来たせいでまともな改修工事もできない。これが安さの理由。どうだい。すぐにでも入れるけど」
「初期費用は」
「あぁ、いらないよ、なんか、あんた苦労してるみたいだから、たまには人助けでもしてみようと思ってね」
老人の気まぐれだというので、気が変わらないうちに話を決めた。安直だったかもしれないが、余計なことを考えるきっかけが少しでも減るのならと思えた。
・・・
職場から近くなれば睡眠時間も増える。
そうすれば必然的に睡眠の質も良くなる。はずだった。
「あっ、おはようございます」
またもや寝たばかりの人に話しかけてくる無神経な少女の挨拶。
なんだか変な感じだ。前にもこの場所にきたことがある気がするのに、はっきりしない。
今度はどこなのだろうか。森の中とは言えない程度のうっそうとした自然のなかに僕はいる。はっきりしないながらにどこか懐かしさ、郷愁を思わせる景色は悪いものではなかった。
それを僕と彼女は互いに目的を知っているのであろうという風に考え、互いに互いを見知らぬままに森の奥へと進ませた。
「貴方と一緒にいられる時間が増えたのはとても嬉しいわ」
「僕もそう悪くは思わない、かな」
はじめは無神経な奴だと思っていたが、こうして話してみれば悪い相手でもない。むしろ話しやすい。まるで自分が望んだのかと思えるくらいに価値観が一致する。
ほっといて欲しい反面、相手してもらいたい。そんな天の邪鬼な性格を理解しているみたいだった。だから彼女に起こされるのは悪い気がしない。むしろ。
的確な言葉を探すにつれて森の中は靄が広がっていき、次第にそのなかに大きな光が射した。
スヌーズを止め、目覚まし時計本体のスイッチを切り替える。目をつぶってもできる一連の動作は体に染み付いた動きだ。
そこからコーヒーを淹れ、トーストを焼き上げる。
時間にゆとりができたのでサラダを付け足してみせた。
「もうこんな時間か」
まだまだ余裕があると言えるが、あまりゆっくりしているわけにもいかない。
「おはようございます」
「あ、あぁ、おはよう」
明るく元気なのはなにより。
その場から逃げるようにして自分の席へ。
通常業務のための端末の立ち上げ、過去のログの確認、タスクの手順とやることをある程度確認し終え、注視していた画面からふと全体が見渡せるくらいにまで顔をあげた。
ここまでに個人差はあれど、大半は終わっている。そして、あの元気な声の主は、少し手間取っているように見えた。もともと器用な方ではないのだろう。だからといって気が利かない訳ではないので、一概に仕事ができないと評価することはしない。
「えー、じゃあ確認をしますね」
少し間を置いてから朝礼を始めた理由は言うまでもない。ただ、こうしたさりげない出来事が周囲にどう思われるのかはわからない。良く捉える人もいれば、悪く捉える人もいる。
そして、それを決める指針は憶測。
「では、それでお願いします」
いつも通り仕事が始まる。
「やっぱり引っ越して正解だったな、いつもより表情がいい」
書類を渡すついでか、もしくは話すついでに書類を渡されたのか。
「いい提案だったよ。そしたら今度」
「いや、いいって、あくまで提案しただけだから」
「そうか」
「じゃ、引き続きよろしく」
肩をポンと叩かれ、そのまま席へ戻って行った。確かに気だるい感じはなくなった。通勤電車に揺られないことが何より一番の理由なのだろうが、いつも以上に寝ることが出来たと実感しているのも大きい。
「何か淹れますか」
一番若い彼女がトレイをもってそれぞれの席を回っていく。
「コーヒーお願い」
「俺、緑茶で」
「ほら、あれ、新しい紅茶買ったから、よかったら一緒に飲まない」
いっそのこと全員同じものを飲めばいいとすら思えるが、好みがある以上仕方ない。
「コーヒーお好きでしたよね、これ買ってみたんですけど、どうですか」
そう言われたらそうするかと言うしかない。
「フレンチプレスって言うらしいんですけど、以外と簡単に出来るって聞いたんで買っちゃいました」
「じゃあ、もらおうかな」
お湯の温度を気にするところだが、給湯器は最新のもので、すぐに温度調整が可能になっている。トレイを持った後ろ姿が去っていき、少し楽しみな自分がいることに気がついた。最近にしては珍しいことだった。これは心に余裕が出来たのだと、一人で府に落ちた。
「はい、どうぞ」
順番に渡されるなか、最後になった私の目の前でプレスが行われた。まるで喫茶店のそれのような段取りに、仕事中にしては出来すぎたサービスだと思われる。
「これ、あまり大きくないんで2杯分しか作れないんですよ」
彼女と私のカップにコーヒーが注がれ、どこで買ってきたのか、中身が冷めないようにするゴム性のお洒落な蓋まで用意されている。
「ありがとう」
「これ、ブレンドなんでお口に合うかわかりませんが」
「いや、おいしいよ」
ここまでのものにすぐ口をつけないのは勿体ないので、すぐに感想を言えた。どこのブレンドだろうか。
「よかった」
それから席に戻っていた彼女に対して詳しく聞くタイミングはなかった。
なにより席が遠いのもある。
「結局、聞けなかったな」
部屋に戻ってくるなり、その事が頭の中をよぎっていた。また明日にでも聞けばいいと思うが、午後だけでもタイミングが見当たらず、今までの自分の性格からすれば難しいことだった。
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「おはよう、やっぱり気になる感じ」
「何が」
「あの子」
「そんなことじゃない」
「だって、今にも考えてるじゃない、どうやって聞こうかって」
「でも、僕は何回も失敗してる」
「失敗すると思っているからでしょう。そんな気持ちでシミュレートを繰り返したって自信を失っていくだけよ」
「それもそうだな。何か変わったよな」
「私がってこと」
「そうだよ」
「あなたの気持ちが変わったからじゃないかしら」
「そうなのかな」
「ほら、おやすみ、明日は頑張って」
「珍しいな」
いつも有耶無耶になっていた夢の中の出来事は、珍しく彼女の言葉で締めくくられた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう、えっと」
出勤前に想定していた流れよりも、スムーズに引き留めることが出来た。
「はい、なんでしょう」
「昨日のあれは、どこで」
「近くにお気に入りの喫茶店があって、そこで貰ったんです。それで、その、よかったら中休みに行ってみませんか」
「あぁ、ぜひ」
「そしたら、朝の飲み物は何にします」
「今朝飲み損ねたからコーヒーで」
「わかりました」
先に去っていく後ろ姿がお手洗いの角に消えた。
そのまま自分の席に着いて支度を始めた。
「俺、紅茶で」
「じゃあ、じぶんも」
私のところに聞きに来ることもなく、トレイを持った彼女は給湯器のある方へと歩いていく。
「はい、今日の分ね」
上司の村上がにこやかな表情で資料を置いていく。普段ならここで一言二言なんかしらの会話をするのだが、今回は付箋にメッセージときた。女子学生みたいなことをする。
「いい感じじゃん、がんばれ」
珍しく人生に仕事に張り合いが生まれた気がする。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
意識してしまい、視線を合わせるのに少し手間取った。
マグカップに付箋が貼られていて、そこに時間と場所、連絡先が記されている。
それから彼女は何かに気がついたようにして、そそくさと自分のところへと戻って行った。
その視線の後を追ってみるとそこには、先ほど村上の置いていった付箋があった。
「実は私も朝飲んでないんで、これで2杯目です」
マスターと呼ばれる初老の男性は嬉しそうに一杯ご馳走してくれた。なんでも、彼女はここでアルバイトをしていたことがあったとか。
「彼女は料理が上手いから、ぜひ食べさせてもらった方がいいよ」
マスターの提案に彼女は大袈裟だと言っていたが、それもいいかもしれない。
「君さえよければ」
それからコーヒーが効きすぎたのか、その日の夜はなかなか寝つけなかった。それからというもの、いっそう生活にメリハリが生まれ、寝付きも目覚めもスッキリしている。
目覚ましよりも先に起きるくらいで、目覚ましの存在はちょっとした保険程度になっている。朝のインスタントコーヒーも要らなくなった。朝食の質も上がって、仕事であろうがどうであろうが、毎日が充実して楽しいと思えている。
「そろそろ行かないと遅れちゃうよ」
「そうだな」
あれから、あの変なモヤモヤした夢は見なくなった。かわりに、はっきりとした夢が出来たのだ。
それは。
Fin
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