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古今集巻第八 離別歌 397、398番
雷鳴り(かんなり)の壺にめしたりける日、おほみきなどたうべて、雨のいたくふりければ、夕さりまではべりて、まかり出でけるをりに、さかづきをとりて
貫之
秋はぎの花をば雨にぬらせども君をばましてをしとこそ思へ
とよめりける返し
兼覧王
をしむらむ人の心をしらぬまに秋の時雨と身ぞふりにける
雷鳴の壺と呼ばれる内裏の襲芳舎に(天皇がわたしたちを)お召しになった日、賜った大御酒を頂いていると、雨が激しく降ったので、夕暮れまでいて、退出する際に、(一緒にいた人たちに向けて)杯をとって
紀貫之
この庭の秋萩の花を雨に濡らすのも惜しいものですが、君(兼覧王)とお別れすることはなおさら惜しいことです
と詠める返歌
兼覧王
惜しいと思うあなたの心を知らない間に、秋の時雨が降るようにわたしの身は年老いたようだ
時雨が「降る」と年老いる意味の「古る」が掛かっています。
紀貫之や凡河内躬恒が宮中に召された時に、醍醐天皇から大御酒を賜り、それを頂いている時に、兼覧王が同席したのでしょう。貫之と躬恒が共に宮中に召されたのは、古今集の撰に関わることだろうと思います。
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