古今集 巻四 秋歌上 220、221、222番
題しらず
よみ人しらず
秋はぎのした葉色づく今よりやひとりある人のいねがてにする
なきわたる雁のなみだやおちつらむ物思ふやどの萩のうへのつゆ
萩の露玉にぬかむととれば消ぬよし見む人は枝ながら見よ
ある人のいはく、この歌はならのみかどの御歌なりと
題しらず
よみ人しらず
秋萩の下の葉が色づくこれからは一人で過ごすわたしを眠れなくする
鳴いて飛んでいく雁の涙が落ちたのだろうか、物思いにしずむ家の庭の萩の露は
萩の露を玉として糸に通そうと取ると消えてしまう、ああ見ようとする人は枝のままで見てくれ
ある人が言うには、この歌は奈良の帝、平城天皇のみ歌である
「いねがてに」は、動詞「いぬ」の連用形「いね」(寝る)、補助動詞「かつ」の未然形「がて」(耐える、できる、られる)、打消しの助動詞「ず」の連用形「に」。意味は「寝ることができないで」。
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