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古今集巻第十六 哀傷歌 859番

やまひにわづらひ侍りける秋、ここちたのもしげなくおぼえければ、よみて人のもとにつかはしける

大江千里

もみぢばを風にまかせて見るよりもはかなきものはいのちなりけり

病いを患っていた明らかに、心地が頼りなく感じたので、詠んで人のところに送った歌
大江千里
紅葉の葉が吹く風のままに散るのを見るよりも、さらに儚いものは人の命であるだろう

日に日に赤くなり枯れて風に散ってしまう紅葉よりも、人の命は先が見通せない、自分もやがてはあの世へ行くのかと、しみじみ感じる、という歌です。

「病ひに患らひ侍りける秋、心地頼もしげなく覚えければ、詠みて人のもとに遣はしける
大江千里
紅葉葉を風に任せて見るよりも儚きものは命なりけり」

「心地頼もしげなし」は、表面的には「気分がすぐれない」ぐらいの表現ですが、「もうだめかもしれない」ぐらいの実感を指します。

#古今集 , #哀傷歌 , #大江千里 , #紅葉 , #命

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ちのみゆき
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