古今集巻第十七 雑歌上 897番
題しらず
よみ人しらず
とりとむる物にしあらねば年月をあはれあな憂と過しつるかな
取り止むる物にし有らねば、年月を、あはれ、あな憂(う)と過し(すぐし)つるかな
時間は引き留めることができる物でもないので、年月をああなんともつらいなぁと過ごして来たものだ
「取り止むる物にし有らねば」は、「取って捕まえて止められるものではない」の意味。現代の「とりとめがない」、目的がない様子、とは異なります。
「あらねば」は、已然形+「ば」なので、原因や理由を表します。
「あはれあなう」は、「あはれ」「あな」「憂」で、ああ、なんと(心が動いた時に発する声)、悲しいことか、という感嘆の言葉です。
それに続く「と」は、と言って、と思って、という意味。
「つるかな」は、完了の助動詞「つ」の連体形+詠嘆の終助詞「かな」で、してしまったものだなあ、と言う意味です。
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