題しらず
よみ人しらず
葦辺より雲井をさして行く雁のいやとほざかるわが身かなしも
題知らず
詠み人知らず
葦の水辺から大空の雲に向かって飛んでいく雁がますます遠ざかって行く、そうやってあの人も遠くへ行ってしまう、ここにいる我が身が悲しい
離れていく男性を悲しく思う女性の歌です。
「雲井(雲居、くもゐ)」は、大空、遠くの空の雲のあるところです。
「いや」は、ますますの意味。「弥栄(いやさか)」の「いや」です。
上の句は、「いやとほざかる」の序詞です。
4句までが情景で、末句にぽつんと短く自分を詠んでいるのが悲しいです。
#古今集 , #恋歌五 , #葦辺 , #雲井 , #雁