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古今集巻第十八 雑歌下 982番

題しらず
よみ人しらず
わが庵はみわの山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉たてる門

我が庵(いほ)は三輪の山元、恋しくは訪らひ来ませ杉立てる門(かど)

私の住まいは三輪山の麓、逢いたい時には訪ねて来てください、杉の木が立っている門まで

詠んだ状況がわかりませんが、宴会の場や、歌垣のような大勢の男女のいるところで、私の家は三輪山の麓なので遊びに来てねと、みんなに言っている感じがします。作者が男性なら「みんな遊びに来てね」ですし、女性なら、歌垣で歌のやり取りを繰り返した後で、気に入った男性に、最後に「お家で待ってます」と答えたのかも知れません。
ただ、神様のいる三輪山の麓に住んでいる特別な人か、または自分を神様になぞらえているとも感じます。そういう意味では、お気軽に訪ねていくことを拒んでいるのかも知れません。

(追記2024.09.30)
この歌は、能「三輪」に出てきます。あらすじは、「三輪山のふもとで暮らす玄賓僧都(げんぴんそうず)のもとに毎日、花と水を持ってくる女がおり、ある日、女は、秋も深まって寒くなったので衣がほしいと言います。僧都は衣をやって、住みかを尋ねると「わが庵はみわの山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉たてる門」と古歌に詠まれた場所だと答えた。玄賓が三輪社に行ってみると衣が神木にかかっていて、女は三輪の神として現れ、衆生を救うために玄賓の元を訪れたことや神話を語って消えていった」というものです。

#古今集 , #雑歌下 , #三輪山 , #杉立てる門 , #能


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ちのみゆき
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