古今集巻第二十 神あそびのうた 1081番
かへしもののうた
よみ人しらず
あをやぎをかたいとによりて鶯のぬふてふ笠は梅の花がさ
返し物の歌
詠み人知らず
青柳を片糸に縒りて鶯の縫ふてふ笠は梅の花笠
大和琴を呂調から律調に返すときの歌
詠み人知らず
青柳を片糸に縒り合わせて鴬が縫うという笠は、梅の花笠だ
返し物はよく分かりませんが、古今集(角川文庫)の注に「大和琴を呂調から律調に変えるのを「かへす」という」とあります。呂は長調に近い雰囲気、律は短調に近い雰囲気だそうで、音階を間違えることを「呂律(ろりつ)が回らない」と言って、後に、言葉が不明瞭なことを「ろれつが回らない」というようになったのだと言うことです。
「鴬の縫う」は、枝から枝へ鴬が飛んで移動する様子が何かを「縫っている」ようだとしてこのように言われています。また、梅の花の蜜を吸うのが花びらを集めているようでもあり、鴬は花々の間を縫って飛んでいるので、「花笠ができる」と例えられています。
古今集春歌上36番に
「鶯の笠に縫ふといふ梅の花折りてかざさむ老かくるやと」
があり、この「青柳を」の歌を本歌にしているそうです。
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