古今集巻第十八 雑歌下 990番
家を売りてよめる
伊勢
あすか川ふちにもあらぬわが宿もせにかはりゆくものにぞありける
家を売りて詠める
伊勢
明日香川淵にもあらぬ我が宿も瀬に変はり行くものにぞありける
家を売って詠んだ歌
伊勢
明日香川の淵でもない私の家も、時が経てば瀬に変わり行くものであったし、実際は銭に代わってしまった
「淵」は、川の深いところですから、「淵にもあらぬ我が宿」は、そんなに大きくもない私の家を例えているのかもしれません。
「瀬に変わる」は、「銭(せに)」との掛詞です。
「明日香川」は、奈良の旧都の飛鳥を流れる川です。飛鳥川。
この歌は、933番「世の中はなにか常なる明日香川昨日の淵ぞ今日は瀬になる」を踏まえています。
宇多天皇の中宮に仕え、天皇や親王などとも関係のあった伊勢ですが、都を離れて静かに暮らそうと家を売ったのでしょう。お金に代わったというのは、生々しいですが、宮中での恋の思い出から抜け出す為の意図的な表現だと思います。
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