古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1033番
題しらず
平貞文
春の野のしげき草葉の妻恋ひにとびたつ雉のほろろとぞなく
春の野に深く茂った草の葉のように、繰り返し何度も繁く妻を恋しく思い、妻を求めて飛び立つ雉(きじ)がほろろと鳴くように、私も妻を恋しく思ってほろほろと泣いている
「草葉が茂る」ことと「繁く思う」ことが掛詞、「雉がほろろと鳴く」ことと「妻を思ってほろほろ泣く」ことが掛詞になっています。
鳴く、泣くの掛詞だけでなく、ほろろ、ほろほろの擬音語を掛けているので、誹諧歌に入れたのだと思います。
雉が、ほろろと鳴くのかは疑問ですが、山鳥の鳴き声のお決まりの擬音語なのかもしれません。鳩ならば、北原白秋の詩「野茨に鳩」では、「ほろろんほろほろ」と鳴いています。
平貞文は「たいらのさだぶん、たいらのさだふみ」です。
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