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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1044番
題しらず
よみ人しらず
紅にそめし心もたのまれず人をあくにはうつるてふなり
紅に染めし心も頼まれず、人を飽くには移るてふなり
紅に染めたというあなたの心もあてにはなりません、わたしという人に飽きた時には、心が他の女に移ると言いますし、紅に染めた心は灰汁で色あせるのでしょう
「紅に染めし心」は、女に恋した男の心のたとえ。
「飽く」は、「灰汁(あく)」との掛詞、「移る」は、心変わりと色あせることの両方の意味です。
「私に飽きたから他の女に男の心が移る」という論理なら、女は努力する意味がありますが、「男は理由なく他の女に興味を持ち、私から離れていく」という論理なら、女には為す術がありません。
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