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古今集巻第八 離別歌 376番
ひたちへまかりける時に、藤原のきみとしによみてつかはしける
寵 或本無此名
あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり
常陸へ行く時に、藤原公利に詠んで送った歌
くら ある本この名無し
朝も昼も会えるあなたではなく、あてにならないので、思い立った草枕の旅です
掛詞に凝った歌です。「見べき君とし」に相手の名前「きみとし」、「思ひたちぬる」に行先の「ひたち」、「草枕」の始めと終わりが「くら」になっています。
「あさなけに」は「朝な昼なに」が崩れた言葉、「草枕」は旅のことです。
よみ人の「寵」は、本当にこの字なのか、またなんと読むのか、よくわからないようです。「或本無此名」(或本に此名は無し)などとも注が書かれています。
この女性のところに藤原公利が通ってくれないので、他の男性について常陸へ行きます、という歌です。
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